研究課題/領域番号 |
23K19361
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上地 浩之 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50755452)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 上皮形態形成 / 細胞接着分子 / 細胞内相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
上皮組織は細胞間結合を維持しつつ運動性を獲得することで、形態形成や創傷治癒を駆動する。適切な組織動態には細胞の接着性と流動性のバランスある制御が必要であるが、これら細胞機能がどのように協調して制御されるのかは十分に分かっていない。 本研究は、細胞接着分子の動態が、上皮の接着性と流動性の両細胞機能を制御する可能性に基づき、細胞接着分子メソスケール動態による形態形成の発現機構を解明することを目的とする。研究成果や手技は、細胞機能を発現する生理的分子動態の理解と、分子物性を標的とした組織操作への応用に寄与すると考えられる。
|
研究実績の概要 |
上皮組織ではバリア機能としての細胞間結合を維持しつつ、他方で運動性を獲得することで形態形成や創傷治癒を実現する。どのような原理で細胞接着性と流動性のバランスある制御が発現されるのかは十分にわかっていない。本研究は申請者が以前に同定した、上皮細胞の三細胞結合点を構成し集団細胞移動に寄与する膜貫通型接着分子の、分子物性に着目することで上皮細胞接着性と流動性の制御機構の解明を目指す。 まず試験管内再構成解析により、本分子物性の記述を試みた。本分子の細胞内ドメインの精製リコンビナントタンパク質は試験内で相分離して、動的な液滴 (コンデンセート) を形成した。また細胞内ドメインは細胞外ドメインとは独立に、支持平面脂質二重膜上で細胞内局在と似た点状のコンデンセートを形成することを見出した。これまでに見出していた、あるいは今回新規に見出した細胞内ドメインの液滴動態変異体は、支持平面脂質二重膜上でも野生型とは異なる点状分布を示した。 次にショウジョウバエ上皮集団細胞の場で本分子を解析した。本分子集合体の生体内流動性は試験管内の支持平面脂質二重膜上コンデンセートと類似の傾向を示した。また、上記細胞内ドメイン液滴動態変異体は、上皮形態形成の場でも野生型とは異なる分子動態を示し、上皮集団細胞移動に必要な細胞動態を阻害した。細胞内ドメインの分子物性が本分子の生理的動態・細胞機能に寄与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたリコンビナントタンパク質の精製や分子物性変異体ショウジョウバエの作製は予定通りに進んでおり、その解析も滞り無く進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
試験管内解析では、着目分子の既知相互作用分子も導入し、より生体内に近い分子構成で分子複合体の再構成とその分子物性を解析する。これら特性に対する液滴動態変異体の直接的な寄与も解析する。また、脂質二重膜の接着面や屈曲点を形成し、生体内で見られる脂質膜の幾何学が分子動態に与える影響を検討する。 生体内では、着目分子が制御し、細胞動態に寄与する分子群のライブイメージングを着目分子の野生型と液滴動態変異体で行い、細胞内ドメインの分子物性が細胞機能に寄与するまでに起こっている分子的作用機序を詳細に解析する。
|