• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

SIRT1によるオートファゴソーム分解制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K19373
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
研究機関札幌医科大学

研究代表者

嵯峨 幸夏  札幌医科大学, 医学部, 助教 (50984316)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードRab7 / オートファジー / SIRT1 / アセチル化修飾 / 心不全 / SIRT1 (サーチュイン)
研究開始時の研究の概要

心不全患者の5年生存率は非常に低く、病態の解明と新規治療法の開発が急がれる。
細胞内分解機構であるオートファジーの活性は心不全の心筋で低下しており、我々は不全心筋において蛋白脱アセチル化酵素SIRT1がオートファジーの重要な過程であるオートファゴソームとリソソームの融合に寄与し、その作用にsmall GTPaseであるRab7が関与する可能性を見出した。そこで本研究ではSIRT1によるオートファジー制御機構をRab7との関連から分子生物学的手法により明らかにすることで、心不全心筋におけるオートファジー不全の機序解明と新しい心不全治療の開発につながる知見を得ることを目指す。

研究実績の概要

心不全患者の5年生存率は非常に低く、病態の解明と新規治療法の開発が急がれる。本研究では老化抑制因子SIRT1によるオートファジー制御機構を、細胞内小胞輸送の調節因子であるRab7との関連から明らかにし、心不全心筋におけるオートファジー不全の機序解明と新しい心不全治療の開発につながる知見を得ることを目指している。
令和5年度の研究では、SIRT1過剰発現によりRab7タンパクのアセチル化レベルが減少することを確認した。一方で、SIRT1ノックダウンではRab7タンパクのアセチル化に有意な増加はみられなかった。質量解析を行った結果、SIRT1阻害薬であるEx527未処置/ 処置のタンパクサンプル両群で予想より多くのRab7アセチル化リジンが検出され、Ex527処置群で特異的にアセチル化されているリジン残基も複数検出された。以上からRab7は複数のリジン残基がアセチル化修飾を受けており、SIRT1はその内のいくつかの脱アセチル化に関与する可能性が示唆された。
令和6年度では、CRISPR/Cas9 systemを用いてSIRT1遺伝子をノックアウト(以下KO)した培養細胞株や、同定したリジン残基を置換変異させた点変異Rab7を発現する培養細胞株を作製する。これらの細胞を用いてSIRT1によるRab7脱アセチル化の詳細を調べることで、SIRT1によるRab7を介したオートファジー制御のメカニズムを明らかにしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々はこれまでに、心不全心筋においてSIRT1がオートファジーの重要な過程であるオートファゴソームとリソソームの融合に寄与することを見出し、この作用に対するSIRT1の標的としてRab7を同定した。
令和5年度の研究では、SIRT1を過剰発現させたHEK293細胞においてウェスタンブロット解析によりRab7タンパクのアセチル化レベルが減少することを確認した。一方で、SIRT1ノックダウン(以下KD)ではRab7タンパクのアセチル化に有意な増加はみられなかった。これはSIRT1 KD細胞ではSIRT1の発現を完全には抑制できないためと考えられる。SIRT1阻害薬であるEx527未処置/ 処置のタンパクサンプルで質量解析 (LC-MS/MS)を行った結果、両群で予想より多くのRab7アセチル化リジンが検出され、Ex527処置群で特異的にアセチル化されているリジン残基も複数検出された。またアラインメント解析により、上記で検出されたアセチル化リジンのいくつかは他のRab familyタンパクでもよく保存されていることがわかった。以上から、Rab7は複数のリジン残基がアセチル化修飾を受けており、SIRT1はその内のいくつかのリジン残基の脱アセチル化に関与していることが示唆された。SIRT1によるRab7脱アセチル化制御の詳細を調べるため、質量解析で同定したリジン残基の点変異体の作製を令和6年度に計画していたが、数種類の点変異Rab7遺伝子を発現するプラスミドを既に作製できた。現在はHEK293細胞にプラスミドを導入し、ウェスタンブロット法により点変異Rab7に付加したHAタグタンパクの発現を確認している。以上から、研究は順調に進んでいると評価した。

今後の研究の推進方策

1. 質量解析で同定した、SIRT1による脱アセチル化を受ける可能性がある Rab7の複数のリジン残基について、各リジン残基を1箇所ずつアミノ酸置換した(K→Qアセチル化模倣、K→Rアセチル化抵抗性) HAタグ付きの点変異Rab7を発現する培養細胞株を作製する。作製した細胞株を用いてRab7の活性やオートファジーへの影響を調べる。現在HEK293細胞に変異プラスミドを導入しているが、今後はラット心筋芽細胞 (H9c2)への導入も試みる。
2. 進捗で述べたとおり、SIRT1 KDではRab7タンパクのアセチル化に有意な増加はみられなかった。そこで、CRISPR/Cas9 systemを用いてSIRT1遺伝子をノックアウト(以下KO)した培養細胞株を作製し、再度Rab7タンパクのアセチル化レベルを検証する。また、作製したSIRT1 KO細胞に野生型のHAタグRab7発現プラスミドや上記1.で用いた点変異Rab7発現プラスミドを導入し、抗HA抗体による免疫沈降と抗アセチル化リジン抗体を用いたウェスタンブロット法によりRab7アセチル化レベルの変化を調べる。
3. Rab7の作用にはRILP (Rab7-interacting lysosomal protein) への結合が重要であり、両者の結合を評価の指標としてRab7がSIRT1により活性を制御されているか検証する。3-① HAタグRab7とGFPタグRILPを共発現する培養細胞株を作製し、抗HA抗体による免疫沈降を行いGFP-RILPを検出する。SIRT1阻害薬でHA-Rab7とGFP-RILPの結合が低下するかを検証する。3-② DsRedタグRab7とGFPタグRILPを共発現する培養心筋細胞株を用いて、Rab7-RILPの共局在を共焦点レーザー顕微鏡で観察する。SIRT1の阻害や活性化の影響を評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Transcriptional dysregulation of autophagy in the muscle of a mouse model of Duchenne muscular dystrophy2024

    • 著者名/発表者名
      Nakashima Ryuta、Hosoda Ryusuke、Tatekoshi Yuki、Iwahara Naotoshi、Saga Yukika、Kuno Atsushi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1 ページ: 1365-1365

    • DOI

      10.1038/s41598-024-51746-9

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi