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LRRK2依存的リソソーム放出機構およびαシヌクレイン分泌への影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K19397
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
研究機関東京大学

研究代表者

櫻井 まりあ  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (20986385)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードLRRK2 / リソソーム / αシヌクレイン / エクソソーム / パーキンソン病 / 分泌小胞
研究開始時の研究の概要

パーキンソン病病因キナーゼLRRK2は薬剤処理によるリソソーム過積載ストレス下ではリソソームに局在化し、そのキナーゼ活性依存的にリソソーム内容物を細胞外に分泌することが申請者らの先行研究より示された。また、この放出機構は分泌小胞を介していることが示唆された。本研究ではこのLRRK2依存性リソソーム分泌機構に着目し、詳細な分子機構の解明と分泌阻害剤の同定を試みる。さらに、同定した分泌阻害剤が培養細胞やマウス生体内においてαシヌクレインの細胞間伝播に与える影響を解析する。これらの検討から、LRRK2の変異がPD発症をもたらす機序の解明を試みる。

研究実績の概要

本研究では、パーキンソン病(PD)病因キナーゼLRRK2に注目し、LRRK2依存的な新規細胞外放出機構の詳細な分子機構の解明とαシヌクレインの細胞間伝播に与える影響の解析を行うことで、LRRK2変異がPD発症をもたらす機序の解明を目的とする。これまでの研究から、LRRK2はクロロキン(CQ)投与などによるリソソーム過積載ストレス下においてリソソーム膜上に集積し、基質Rab10リン酸化、リソソーム酵素の細胞外放出を促進することを見出していた。CQ処理時にはLRRK2はリソソーム一重膜上に集積することからLRRK2の局在・活性制御にオートファジー分子が関与している可能性を考え、ノックダウン実験を行った結果、マクロオートファジーの開始複合体を形成するULK1, Fip200ノックダウンではLRRK2集積は抑制されなかったものの、ATG5, ATG16L1ノックダウンによっては集積が抑制された。また、V-ATPase阻害によってもLRRK2集積は抑制されたことから、LRRK2局在と活性化はCASM (conjugation of ATG8 to single membrane)に必要とされるV-ATPase-ATG16L1軸によって制御されることが示唆された。また、細胞培養上清から超遠心によって分画したエクソソーム画分では複数のエクソソームマーカーが検出され、それらはLRRK2阻害剤あるいはLRRK2やRab10のノックダウンによって減少した。また、エクソソーム画分中のカテプシンBも減少したことから、LRRK2依存的なリソソーム酵素の細胞外放出はそのほとんどがエクソソーム分泌にともなうものであることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CQ処理時のLRRK2局在・活性制御機構としてV-ATPase-ATG16L1軸が機能していることを明らかにし、論文として発表した。また、これまでに構築したスクリーニング系を用いた化合物ライブラリのスクリーニングによってCQ処理時のリソソーム酵素細胞外放出阻害剤を複数同定し、それぞれについてLRRK2の集積とキナーゼ活性への効果を検討し、クラスタリングを行った。さらに、CQ処理時に分泌されるエクソソームについてLRRK2基質やESCRT分子のノックダウン実験を行った。

今後の研究の推進方策

現在超遠心法によって回収されたエクソソームについて粒子径と粒子量の解析を行っており、これに合わせて電子顕微鏡での撮影を行う。また、リピドミクス解析も行うことにより、CQ処理時にLRRK2依存的に分泌されるエクソソームの性状解析を行う。さらに、カテプシンBとエクソソームとの関係について、リポソームを用いたin vitro解析を進める。マウスの血中や尿中におけるエクソソーム量の変化について、エクソソーム表面マーカー認識抗体を用いたアフィニティー精製法によって定量的に検出する系を確立し、Lrrk2欠損マウスやG2019S変異型LRRK2トランスジェニックマウスに対して、同定した放出阻害剤をCQと同時に腹腔内投与し、エクソソーム量の変化を捉えることでLRRK2がエクソソーム分泌に与える影響を解析する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Lysosomal stress drives the release of pathogenic α-synuclein from macrophage lineage cells via the LRRK2-Rab10 pathway2024

    • 著者名/発表者名
      Abe Tetsuro、Kuwahara Tomoki、Suenaga Shoichi、Sakurai Maria、Takatori Sho、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 27 号: 2 ページ: 108893-108893

    • DOI

      10.1016/j.isci.2024.108893

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The V-ATPase-ATG16L1 axis recruits LRRK2 to facilitate the lysosomal stress response2024

    • 著者名/発表者名
      Eguchi Tomoya、Sakurai Maria、Wang Yingxue、Saito Chieko、Yoshii Gen、Wileman Thomas、Mizushima Noboru、Kuwahara Tomoki、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Cell Biology

      巻: 223 号: 3

    • DOI

      10.1083/jcb.202302067

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Phosphorylation of Rab29 at Ser185 regulates its localization and role in the lysosomal stress response in concert with LRRK22023

    • 著者名/発表者名
      Komori Tadayuki、Kuwahara Tomoki、Fujimoto Tetta、Sakurai Maria、Koyama-Honda Ikuko、Fukuda Mitsunori、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: 136 号: 14

    • DOI

      10.1242/jcs.261003

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Analysis of the novel extracellular release pathway of lysosomal contents mediated by Parkinson’s disease kinase LRRK22023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ、桑原知樹、江口智也、岩坪威
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] パーキンソン病病因キナーゼLRRK2が制御するリソソーム内容物分泌機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ、桑原知樹、江口智也、岩坪威
    • 学会等名
      第15回オートファジー研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] パーキンソン病病因遺伝子産物LRRK2が制御するリソソーム分泌機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ、桑原知樹、今村理世、小島宏達、岩坪威
    • 学会等名
      第14回スクリーニング学研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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