研究課題/領域番号 |
23K19405
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
丹下 寛也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50980992)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | プリオン病 / アミロイド / 液相分離 |
研究開始時の研究の概要 |
家族性プリオン病は、プリオンタンパク質のアミノ酸変異により病原性アミロイド(プリオン)が蓄積して発症する。発症機序は不明かつ発症予防法や治療法は存在しない。プリオンタンパク質のアミノ酸変異は多様な疾患表現型をもたらし、変異依存性に構造の異なるプリオンが形成されると考えられている。本研究は、試験管内で液相分離を介したプリオンの自発的アミロイド形成を再現する。変異プリオンタンパク質が液相分離からアミロイド化する過程やその構造を時空間的に明らかにし、家族性プリオン病の分子病態解明を目指す。
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研究実績の概要 |
家族性プリオン病(fCJD)の原因アミノ酸変異をもったリコンビナントプリオン蛋白質(rPrP)のクローニングが完了し、液相分離させる実験を行っている。申請者が野生型rPrPを用いて確立した液相分離実験系で、条件検討を行ったが、有意な差が見いだせていない。そのため、塩の種類や濃度、ポリマーの分子量を変更し、液相分離する条件を再検討して探索を行っている。今後は液相分離させる条件が確立でき次第、アミロイド形成過程を共焦点顕微鏡や原子間力顕微鏡を使い、時空間的に解析する予定である。野生型rPrPの実験結果から、液相分離すれば、そこから自発的にアミロイドを形成する可能性が高い。得られたアミロイドは、ヒト・プリオンノックインマウスの脳内に播種し感染性を評価する予定である。変異によって異なる神経症状が出るかどうか観察を行い、必要に応じて解剖し病理学的所見を明らかにする。上記の実験を通し、fCJD関連変異rPrPが液相分離する条件の検討、試験管内でアミロイドを形成する過程の時空間的解析と、その病原性の評価を行う。 その他fCJDに起因するアミノ酸変異に依って、多量体を形成する際のコンフォメーションの違いが、アミロイド形成過程に影響を与えると考え、タンパク質の構造予測AI, Alpha fold2を用いて多量体の構造予測を行っている。これらの試験管内とin silicoの計算結果を踏まえて、アミノ酸変異が液相分離からアミロイド形成に与える影響を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疾患変異を持ったリコンビナントプリオン蛋白質の精製はできたが、液相分離の条件について再検討が必要な状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにコスモトロピック塩がプリオンタンパク質の液相分離を誘発する際に重要であることがわかっているため、塩の種類や濃度の再検討を行う。複合体形成の計算については、Alphafold3を用いて行う予定である
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