研究課題/領域番号 |
23K19408
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
丹羽 史尋 自治医科大学, 医学部, 助教 (50641974)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バソプレシン受容体 / オピオイド鎮痛耐性 / 1分子イメージング / オピオイド受容体 / アレスチン / GPCR / 1分子イメージング / モルヒネ鎮痛耐性 / オピオイド / バソプレシン |
研究開始時の研究の概要 |
モルヒネは強力な鎮痛作用を持ち、疼痛治療に不可欠だが、長期投与により鎮痛耐性が生じる。モルヒネが作用するmu-オピオイド受容体がバソプレシンV1b受容体と二量体を形成し、b-arrestin2を活性化することで鎮痛耐性が形成される。しかしながら、b-arrestin2の活性化やその下流で鎮痛耐性が形成されるメカニズムは未解明の点が多い。本研究ではb-arrestinがアデニル酸シクラーゼを活性化する経路、及び、GABA作動性シナプス伝達のモルヒネ鎮痛耐性への関与の検証という2点からモルヒネ鎮痛耐性の分子基盤に迫る。本研究によって将来のより良い疼痛治療への標的提示を目指す。
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研究実績の概要 |
モルヒネの長期投与は、u-オピオイド受容体(MOR)とバソプレシンV1b受容体(V1bR)の ヘテロ二量体(MOR/V1bR)を活性化する。これにより、アデニル酸シクラーゼの活性化と cAMPの濃度上昇を引き起こす。このアデニル酸シクラーゼの活性化は、モルヒネ鎮痛耐性の原因と考えられている。しかし、細胞内のどこでMOR, V1bR, b-arrestin2, ERKなどの複合体が形成され、どのようにアデニル酸シクラーゼの活性化が起こるかは未解明の課題である。この課題の解明のために本研究では多色1分子イメージングによる1分子FRETイメージングを用いることで、アゴニストの有無などによる一過性のたんぱく質の構造変化と相互作用の変化、さらにはその局在や持続時間などを包括的に解析することを計画している。 2023年度の本科研費において申請者は1分子イメージングを用いたMORおよびV1bR、b-arrestin2の多色同時イメージングによる可視化の系の立ち上げに注力した。その結果、生細胞での2種類のたんぱく質の同時1分子イメージングの系を立ち上げ、2種類のたんぱく質の相互作用の可視化が可能になった。 また、たんぱく質の発現量の変化などによるたんぱく質の相互作用の変化を避けるために、細胞内への遺伝子導入量を一定にし、定量性を上げるという目的で、ゲノムのセーフハーバーに任意の遺伝子を1コピーずつ導入できる系を開発した。 2024年度はこれらを用いてこれらのたんぱく質複合体の相互作用について1分子レベルでの相互作用をその局在やタイムスケールの情報も併せて解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の半年間では超解像顕微鏡を用いた生細胞での2色同時超解像1分子イメージングの立ち上げ及び、タグ付きGPCRをゲノムに組み込んだイメージング用の細胞株の作製を行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りu-オピオイド受容体およびバソプレシンV1b受容体、b-arrestin2の相互作用の可視化及び解析を行う。タグ付きV1b受容体作製時に判明した点として、V1b受容体は細胞膜上に存在する受容体に対して、細胞内に存在している受容体の割合の方が非常に高いことも明らかになった。そこで、単なる細胞膜上でのヘテロGPCRの相互作用だけでなく、これらのヘテロGPCRが細胞膜上に移行する条件なども含め包括的な解析を行う。
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