研究開始時の研究の概要 |
がんの発症及び進行にはエピゲノムの異常が重要な役割を果たしており, エピゲノムの人工的な制御は有力な抗がん戦略となっている。本研究では, 内在性の酵素に依存せず, マウス個体内のヒストン修飾を直接制御する人工触媒システムの開発に取り組む。マウス個体内の白血病細胞に対して人工触媒システムを導入し, ヒストンを直接かつ選択的にアセチル化することにより, 難治性の白血病として知られるMLL転座白血病に対する抗がん効果の実現を目指す。本研究が達成されれば, 新規抗がん戦略の提示に加え, 人工触媒反応による疾患治療という革新的概念が実証され, 創薬科学の新たな方向性が提示できると考えている。
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研究実績の概要 |
がんの発症及び進行にはエピゲノムの異常が重要な役割を果たしており, エピゲノムの人工的な制御は有力な抗がん戦略となっている。本研究では, 内在性の酵素に依存せず, マウス個体内のヒストン修飾を直接制御する人工触媒システムの開発に取り組む。マウス個体内の白血病細胞に対して人工触媒システムを導入し, ヒストンを直接かつ選択的にアセチル化することにより, 難治性の白血病として知られるMLL転座白血病に対する抗がん効果の実現を目指す。本研究が達成されれば, 新規抗がん戦略の提示に加え, 人工触媒反応による疾患治療という革新的概念が実証され, 創薬科学の新たな方向性が提示できると考えている。 本年度は, 開発した化学触媒によって白血病のモデル細胞内のヒストンに対してアセチル基を導入することで, 増殖抑制効果が発揮されるのかどうかを検討した。その結果, 様々な白血病の細胞種に対してヒストンアセチル化を促進でき, その後の増殖抑制効果を示すことを見出した。さらに, 化学触媒によるヒストンアセチル化ののちの転写変化を解析することで, この増殖阻害のメカニズム解析を行った。
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