研究課題/領域番号 |
23K19427
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塚本 智仁 大阪大学, 大学院薬学研究科, 招へい教員 (20977342)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Cas9 / ゲノム編集 / CRISPR / アデノウイルスベクター / 免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
CRISPR-Cas9システムを用いたゲノム編集療法は、種々の難治性疾患に対する革新的治療法として期待されている。しかし、多くの成人がCas9に対する免疫を既に獲得しており、細胞傷害性T細胞によってCas9発現細胞(ゲノム編集された細胞)が排除されることで治療効果が減弱することが問題となっている。本研究では、Cas9に対する獲得免疫を有した生体を用いて、①生体でのCas9タンパク質の発現制御、②免疫抑制剤の使用によってCas9に対する免疫応答を抑制し、高いゲノム編集効率を達成可能か検討する。
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研究実績の概要 |
ゲノム編集による遺伝子治療は先天性遺伝子疾患に対する革新的な治療方法として注目を集めており、実験動物では優れた治療効果が多数報告されているだけでなく、海外においてゲノム編集技術を用いた治療薬が既に承認されている。一方、ゲノム編集でDNA切断活性を担うCas9は、黄色ブドウ球菌などの病原性原核生物由来のタンパク質であり、約60-80%の成人がこれらの微生物に自然暴露することでCas9に対する獲得免疫を有している。したがって、Cas9を患者に発現させた場合、細胞傷害性T細胞によってCas9発現細胞が排除されたり、免疫応答が過剰に活性化したりするなどの副作用が懸念される。本研究はCas9によるゲノム編集療法の実用化に向けて、Cas9に対する免疫応答を回避し、Cas9に対する獲得免疫を持つ生体において高いゲノム編集効率を達成可能な技術の開発を目的とする。 本年度は、肝臓特異的プロモーター、CBhプロモーター、Tet-onシステム誘導下でCas9を発現する3種類のCas9-gRNA搭載アデノウイルス(Ad)ベクターの調製を行なった。作製したAdベクターを癌細胞株に作用させ、Cas9の遺伝子発現やin vitroにおけるゲノム編集効率を調べたところ、作製したベクターは各プロモーター特性を反映したCas9の発現パターンを示し、またいずれのCas9-gRNA搭載Adベクターはゲノム編集を行えることが明らかとなった。現在、これらのAdベクターをマウスに静脈内投与し、in vivoにおけるCas9に対する免疫応答の解析に向けた基礎的なデータの取得を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Cas9-gRNA搭載アデノウイルス(Ad)ベクターの調製において、一部収量が悪いAdベクターがあり、必要量のAdベクターを回収するために想定以上の時間を要した。また、in vivo実験においてCas9の長期的な影響を調べるために、投与から数ヶ月かかる検討を行っているが、本検討は単一のデータを取得するのではなく、多岐にわたるパラメータを取得しているため遺伝子発現、免疫応答などの各種解析に想定以上の時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、Cas9搭載アデノウイルス(Ad)ベクターをin vivoに投与した際のCas9遺伝子発現期間や免疫応答など各種解析を実施することで、次の検討に必要なデータの取得を行う。なお、本実験は既に開始しており、マウスへのAdベクター投与が完了している。また、リコンビナントCas9を事前免疫したマウスを用いて、Cas9に対する免疫応答に関するデータを順次取得する予定である。さらに、薬剤応答性のプロモーター(Tet-onシステム)でCas9を誘導可能なAdベクターを用いて、治療用Cas9を特定の期間のみ発現させた場合のゲノム編集効率および免疫応答をタイムポイント毎に検出する予定である。
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