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シスプラチン誘発腎障害の原因にアプローチする新たな予防戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K19430
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0801:薬学およびその関連分野
研究機関徳島大学

研究代表者

神田 将哉  徳島大学, 病院, 薬剤師 (60979516)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード薬剤性腎障害 / シスプラチン / SGLT2阻害薬 / MATE / トランスポートソーム
研究開始時の研究の概要

シスプラチン誘発腎障害の発生は、原疾患に対する治療の妨げになるだけではなく、患者のQOLを著しく低下させるため、臨床上そのコントロールが非常に重要である。しかしながら現在有効な予防法はなく、新たな予防戦略の開発が求められている。これまで基礎研究で抗酸化薬や抗炎症作用を示す薬物に期待が寄せられていたが、臨床応用に至った例はない。一方で、ヒトの病態とシスプラチン投与腎障害モデルマウスとの両方で共通して相関がみられ、指標となりうるのがシスプラチンの蓄積量である。
本研究はシスプラチン誘発腎障害の根本原因と考えられるシスプラチン蓄積に直接アプローチすることで、真に有効性の高い予防戦略の確立を目指す。

研究実績の概要

シスプラチンは多くの悪性固形腫瘍に対するキードラッグとして用いられる白金製剤である。一方で、副作用として高頻度に起こる腎障害は、原疾患に対する治療の妨げになるだけではなく、患者のquality of lifeを著しく低下させるため、臨床上そのコントロールが非常に重要である。しかし、現在有効な予防法はなく、新たな予防戦略の開発が求められている。研究代表者はこれまでの検討によりシスプラチン誘発腎障害モデルマウスに糖尿病治療薬であるSGLT2阻害剤を併用することで、腎障害が抑制されることを明らかにしている。本研究の目的は、SGLT2阻害剤併用による腎障害抑制の作用機序を明らかにすることで、シスプラチン投与患者に対する腎障害予防薬の開発につながる基礎的知見を集積することである。
シスプラチン誘発腎障害は、腎臓近位尿細管細胞へのシスプラチンの蓄積量に依存して腎障害が増悪することが知られている。そこで、シスプラチン(15 mg/kg)を腹腔内投与することによりシスプラチン誘発腎障害モデルマウスを作製し、SGLT2阻害剤の併用による腎臓内のシスプラチン蓄積量に対する影響を検討した。その結果、SGLT2阻害剤併用群では、シスプラチン単独投与群と比較してシスプラチンの腎臓内蓄積量が減少することが明らかになった。SGLT2阻害剤併用によって、シスプラチンの排泄量が増加し、近位尿細管細胞へのシスプラチン蓄積量が減少することで、腎障害が軽減する可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、SGLT2阻害薬におけるシスプラチン誘発腎障害の抑制効果を検証するために、シスプラチン誘発腎障害モデルマウスを用いた薬効評価を行った。
シスプラチン誘発腎障害モデルマウス (シスプラチン15 mg/kg腹腔内投与) を作製し、シスプラチン投与8及び72時間後に血清、尿および腎臓を採取した。SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)などの各種試薬はシスプラチン投与24時間前から2回もしくは4回経口投与し、腎障害の程度を各種腎機能パラメーター(BUN、クレアチニンクリアランス)により評価した。シスプラチン蓄積量の変化はICP質量分析法による定量を用いて評価した。モデルマウスを用いた検討では、シスプラチン投与により、腎機能障害及び腎臓中のシスプラチン蓄積が認められた。SGLT2阻害薬投与により、腎臓中のシスプラチン蓄積量は有意に減少し、シスプラチン誘発腎機能障害が抑制される結果が得られた。
以上よりおおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

2023年度は、SGLT2阻害薬におけるシスプラチン誘発腎障害の抑制効果について、シスプラチン誘発腎障害モデルマウスを用いて検証した。
2024年度は、SGLT2阻害薬における腎障害抑制の作用機序について、シスプラチン蓄積抑制の鍵となるmultidrug and toxic compound extrusion(MATE) 型輸送体を含む膜輸送複合体(トランスポートソーム) に着目し検証を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Valproic acid treatment attenuates cisplatin‐induced kidney injury by suppressing proximal tubular cell damage2023

    • 著者名/発表者名
      Toshihiko Yoshioka, Mitsuhiro Goda, Masaya Kanda, Sayuri Itobayashi, Yugo Sugimoto, Yuki Izawa‐Ishizawa, Kenta Yagi, Fuka Aizawa, Koji Miyata, Takahiro Niimura, Hirofumi Hamano, Takumi Sakurada, Yoshito Zamami, Keisuke Ishizawa
    • 雑誌名

      Clinical and translational science

      巻: 16 号: 11 ページ: 2369-2381

    • DOI

      10.1111/cts.13638

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] SGLT2阻害薬によるシスプラチン誘発腎障害の抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      杉本 祐悟, 合田 光寛, 石田 朋奈, 加納 菜々, 神田 将哉, 吉岡 俊彦, 相澤 風花, 新村 貴博, 八木 健太, 川田 敬, 石澤 有紀, 石澤啓介
    • 学会等名
      第62回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シスプラチン誘発腎障害に対するバルプロ酸ナトリウムの予防効果2023

    • 著者名/発表者名
      吉岡 俊彦, 合田 光寛, 杉本 祐悟, 石田 朋奈, 神田 将哉, 櫻田 巧, 相澤 風花, 新村 貴博, 八木 健太, 石澤 有紀, 石澤 啓介
    • 学会等名
      次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シスプラチン誘発腎障害に対するSGLT2阻害薬の影響2023

    • 著者名/発表者名
      杉本 祐悟, 合田 光寛, 石田 朋奈, 加納 菜々, 神田 将哉, 吉岡 俊彦, 相澤 風花, 新村 貴博, 八木 健太, 石澤 有紀, 石澤 啓介
    • 学会等名
      次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シスプラチン誘発腎障害に対するバルプロ酸ナトリウムの予防効果2023

    • 著者名/発表者名
      吉岡 俊彦, 合田 光寛, 杉本 祐悟, 石田 朋奈, 神田 将哉, 櫻田 巧, 相澤 風花, 新村 貴博, 八木 健太, 石澤 有紀, 石澤 啓介
    • 学会等名
      生体機能と創薬シンポジウム2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] バルプロ酸ナトリウムのシスプラチン誘発腎障害予防薬としての可能性2023

    • 著者名/発表者名
      吉岡 俊彦, 合田 光寛, 神田 将哉, 杉本 祐悟, 石澤 有紀, 八木 健太, 相澤 風花, 宮田 晃志, 新村 貴博, 櫻田 巧, 桐野 靖, 石澤 啓介
    • 学会等名
      第267回徳島医学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] MATE型輸送体を標的とするシスプラチン誘発腎障害予防戦略の開発2023

    • 著者名/発表者名
      神田 将哉, 合田 光寛, 吉岡 俊彦, 杉本 祐悟, 櫻田 巧, 相澤 風花, 新村 貴博, 八木 健太, 石澤 有紀, 石澤 啓介
    • 学会等名
      第32回霧島神経薬理フォーラム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Discovery of preventive drugs for cisplatin-induced acute kidney injury2023

    • 著者名/発表者名
      Mitsuhiro Goda, Masaya Kanda, Toshihiko Yoshioka, Koji Miyata, Fuka Aizawa, Takahiro Niimura, Kenta Yagi, Takumi Sakurada,Yuki Izawa-Ishizawa, Keisuke Ishizawa
    • 学会等名
      19th World Congress of Basic & Clinical Pharmacology (WCP2023)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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