研究課題/領域番号 |
23K19432
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
神谷 万里子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40980975)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / 脂質ナノ粒子 / mRNA / ペプチド脂質 / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
mRNA封入脂質ナノ粒子(LNP)を用いたゲノム編集法では、LNPが肝臓へ分布しやすく、標的とする部位以外へ集積への意図しない変異の導入やオフターゲット変異によるがん化のリスクが増加することが懸念される。そこで、本研究では、LNP脂質膜組成の検討や、細胞内取り込みを増強するペプチド脂質改良およびLNPへの修飾によって、投与局所の標的細胞への取り込みを増強し、同時に肝臓への移行性を減少させる、局所発現特化型mRNA-LNP製剤を開発する。肝臓以外の臓器を標的とするゲノム編集治療薬の可能性を広げるため、投与局所としては筋肉をはじめとし、腎臓などへの適用を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、投与局所における標的細胞への取り込みを増強し、同時に肝臓への移行を減少させる局所発現特化型mRNA-LNP製剤の開発を目的とする。高い細胞結合性を示すペプチド脂質KK-(EK)4脂質をmRNA封入脂質ナノ粒子(LNP)へ修飾し、局所発現を増強する検討を進めている。 本年度は、KK-(EK)4脂質修飾効率の向上を目指し、現在のパルミチン酸2本鎖から異なる脂質へと変更した新規誘導体を設計した。この誘導体を固相合成法によって合成し、HPLCによる分取・精製を行い、MALDI-TOF-MSによって分子量が目的化合物と一致したことを確認した。これにより、KK-(EK)4脂質誘導体の合成に成功したことを確認した。 また、KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP製剤の筋肉以外への適用の可能性について、腫瘍内投与を選択して検討した。Colon-26皮下腫瘍モデルマウスを作製し、腫瘍体積が一定に達したのち、未修飾およびKK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNPを腫瘍内投与した。KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP投与群では、腫瘍におけるルシフェラーゼ発現量は増加し、KK-(EK)4脂質修飾mRNA-LNP製剤は、筋肉以外にも適用が可能である汎用性の高い製剤であることを示した。 さらに、標的遺伝子に対して高い選択性をもつCRISPR/Cas9システムに必要なCas9 mRNAの鋳型プラスミドを作製し、転写したmRNAの鎖長を電気泳動にて確認できた。加えて、正常組織で発現するモデル遺伝子を選択し、これに対するsgRNAを設計および合成した。これらによって、mRNA-LNP製剤によってゲノム編集効率を検討する準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標であった、脂質鎖を変更した新規KK-(EK)4脂質誘導体の合成、筋肉以外への局所投与への適用、ゲノム編集用核酸の合成に成功した。これらの研究の一部を現在1報の論文として投稿準備を進めている。研究計画は目標通りであったが、投稿計画に遅れがあった。
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今後の研究の推進方策 |
改良型KK-(EK)4脂質の開発については、複数の新規誘導体をmRNA-LNP製剤へ修飾し、in vitroでの細胞内取り込みおよび発現増強効果について検討を進めている。文献情報を基に脂質組成を変更した、短時間崩壊型mRNA-LNP製剤への修飾についても、同時に検討を進め、in vivoにおける局所での発現および肝臓への移行性を確認する予定である。 一方、モデル遺伝子におけるゲノム編集効率を指標として、従来型および改良型KK-(EK)4脂質におけるゲノム編集製剤としての有用性を検証する。
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