研究課題/領域番号 |
23K19440
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0801:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西殿 悠人 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (40979473)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 生薬 / 薬用植物 / カンゾウ / エタノール |
研究開始時の研究の概要 |
生薬「甘草」は、漢方薬の7割以上に配合される重要生薬の一つであるが、供給のほとんどを中国からの輸入に依存しているため、安定供給の観点から、その基原植物であるウラルカンゾウやスペインカンゾウの国内栽培化が強く望まれている。研究代表者は、これまでに、薬用植物カンゾウ由来のカルスにおいて、外因性エタノール処理により薬効成分の一つであるグリチルリチン酸の生合成が誘導されることを見出しており、本研究では、実際の植物体における外因性エタノール処理の影響(薬効成分の蓄積に及ぼす影響)を明らかにする。得られた知見は、薬効成分が高蓄積した薬用植物カンゾウの栽培法の確立に応用する。
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研究実績の概要 |
生薬「甘草」は漢方薬の7割以上に配合される重要生薬の1つであるが、その供給のすべてを輸入に依存しているため、国内での栽培化が強く求められている。しかしながら、国内栽培品の多くは、薬効成分の蓄積が十分ではないという問題がある。このような背景のもと、研究代表者は、先行研究において、外因性エタノール処理により、薬用植物カンゾウの薬効成分であるグリチルリチン酸の蓄積を誘導できる可能性があることを明らかにした。そこで、本研究課題では、薬用植物カンゾウの二次代謝産物の蓄積に及ぼす外因性エタノールの影響を細胞培養系と実際の植物体の両方でより詳細に明らかにすることを目的とした。研究計画に従い、令和5年度は、初めに、薬用植物カンゾウより誘導したカルスの液体培地への移行を試みた。さまざまな植物ホルモンの組み合わせにより誘導したカルスのうち、1-naphthaleneacetic acid (NAA) と6-benzyladenine (BA) の組み合わせにより誘導したカルスについて、グリチルリチン酸の生合成能を維持した状態で液体培地に移行することができた。次に、この細胞培養系を用いて、外因性エタノールがグリチルリチン酸の蓄積に及ぼす影響を複数の濃度で調べ、グリチルリチン酸の蓄積が誘導される外因性エタノールの濃度域、培養細胞の増殖が阻害される外因性エタノールの濃度域を明らかにした。同時に、外因性エタノールにより蓄積が増加するグリチルリチン酸以外のトリテルペンサポニン、蓄積が減少するトリテルペンサポニン、蓄積が増減しないフラボノイドを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、液体培地で維持している培養細胞を用いて、外因性エタノールがグリチルリチン酸の蓄積に及ぼす影響を複数の濃度で明らかにすること、外因性エタノールがグリチルリチン酸以外の二次代謝産物の蓄積に及ぼす影響を明らかにすることを計画していた。当初の計画通り、グリチルリチン酸の蓄積が誘導される外因性エタノールの濃度域を明らかにすることができたとともに、グリチルリチン酸以外のトリテルペンサポニンやフラボノイドに及ぼす外因性エタノールの影響を明らかにすることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に得られた知見を踏まえ、実際の植物体における外因性エタノール処理の影響(形態的特徴および薬効成分の蓄積に及ぼす影響)を明らかにする。具体的には、エタノールの最終濃度が0%~1%になるように調製したMS培地(0.8%寒天、各種ビタミン、3%スクロース含有)において、無菌発芽した薬用植物カンゾウの幼苗を一定期間生育させる。一定期間生育させたサンプルについて、形態的特徴を記録するとともに、成分分析を行う。この際、グリチルリチン酸を含む複数のトリテルペンサポニンについては、定量分析を行う。
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