研究課題/領域番号 |
23K19463
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北井 優貴 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (40898441)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | RSウイルス / 温度安定性 / F蛋白 / 膜融合 |
研究開始時の研究の概要 |
呼吸器感染症の原因ウイルスの一つであるRSウイルスは、比較的高温に対して失活しやすいと考えられている。そのためRSウイルスを取り扱う上では、失活を防ぐために低温を維持することが重要であるとされてきた。 それに対し申請者は、近年分離されたRSウイルスは低温で失活しやすいという特徴な温度安定性を有していることを見出した。本研究ではこのRSウイルスの低温における失活現象について、RSウイルスの膜融合蛋白(Fusion蛋白)に注目して解析を進め、そのメカニズム解明を目指す。
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研究実績の概要 |
呼吸器感染症の原因ウイルスの一つであるRSウイルスは、比較的高温に対して失活しやすいと考えられている。そのためRSウイルスを取り扱う上では、失活を防ぐために低温を維持することが重要であるとされてきた。それに対し申請者は、近年分離されたRSウイルスは低温で失活しやすいという特徴な温度安定性を有していることを見出した。本研究ではこのRSウイルスの低温における失活現象について、RSウイルスの膜融合蛋白(Fusion蛋白)に注目して解析を進め、そのメカニズム解明を目指す。 本年度は、低温において著しく失活する代表株であるRSV/B/Sendai/851/13株を用いた解析を進めた。その結果、RSウイルスの低温失活は細胞への吸着・細胞内への取り込みにおいては影響を与えない一方で、膜融合機能が減弱していることが明らかになった。膜融合に必要であるprefusion型のFusion蛋白を、prefusion構造に特異的なモノクローナル抗体を用いて検出したところ、低温失活状態でprefusion型のF蛋白が減少していることが確認された。さらに、低温処理したウイルスを細胞へ接種し長期培養するとウイルスの増殖が確認された。得られたウイルスは低温条件下でも感染性を失わず、prefusion型F蛋白の減少もみられなかった。この低温安定性を獲得したバリアントとその親株との遺伝子配列を比較したところ、F蛋白及びG蛋白に1アミノ酸置換が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RSVが低温条件下で失活する原因として膜融合機能に必要であるprefusion型F蛋白の減少が可能性として示唆された。さらに低温安定性獲得株の遺伝子解析の結果から、低温におけるウイルス活性の安定性に寄与するであろうアミノ酸配列を推定できた。
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今後の研究の推進方策 |
他のウイルス株のF蛋白アミノ酸配列の解析を行い、低温感受性との関係性を明らかにする。得られた低温安定性株とその親株を用いてマウスへの感染実験を行い、病原性の差異について解析する。
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