研究課題/領域番号 |
23K19474
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
杉澤 良一 近畿大学, 医学部, 助教 (70803568)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | SARM1 / NAD / 炎症 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
SARM1は自然免疫を制御する細胞内タンパク質であり、近年NAD分解酵素(NADase)であることが見出された。これまでに申請者らはSARM1がNAD+制御を通じて、細胞の代謝や炎症性タンパク質の発現を制御することを見出した。 本研究では独自に樹立したSARM1遺伝子改変マウスの炎症モデル作製と解析を通じ、SARM1によるNAD+制御・自然免疫制御の生体における役割を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、自然免疫分子であり近年NAD分解酵素(NADase)として同定されたSARM1について、その炎症下における役割の探索を目的とする。申請者らはこれまでにSARM1はTRIFやNLRP3インフラマソームの抑制分子と働くことを見出した。また別グループの報告から、SARM1は神経細胞においてNADase活性依存的に軸索変性を起こし、神経変性疾患の基盤病態を制御することから着目されている。さらには下等生物のSARM1オーソログはNADase活性依存的に自然免疫を制御することも知られているが、これまでにSARM1のNADase活性が自然免疫制御に及ぼす役割については報告がない。 申請者は、SARM1がNADase活性依存的・非依存的双方のメカニズムで炎症性サイトカインを制御することを発見した。本計画の関連研究としても本発見に関する研究を実施し、本課題の成果とした(in press)。また申請者らは独自のSARM1遺伝子改変マウスを樹立しており、骨髄由来マクロファージを用いた検討から、SARM1がミトコンドリア代謝に関与することを見出し、免疫代謝の制御という示唆を得ている。 今後は申請者らによりin vitro主体で得られた知見がin vivoでどのような影響を及ぼすか、特に全身での炎症における役割に着眼した部分が主なテーマとなる。本研究課題で主体となる遺伝子改変マウスの(申請者の帰国に伴う)移動が完了し、繁殖が進んでいる。これらを用いた予定実験のプレ検討も進んでおり、着実に当初想定の準備が進捗している。 さらには本研究テーマに関連して新規の国際共同研究を立ち上げることとなり、その準備も進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の最重要課題であるin vivo実験について研究計画の都合上、遺伝子改変マウスはヘテロ間交配を行いWT/Homのlittermates(同腹子)を実験に供する。このため匹数の確保が不安定であり、繁殖状況に応じて実験ペースが左右され、当初計画とは差異が生じている。 これにより、研究計画全体としては進捗が進んでいる部分と遅れている部分が入り混じっているが、現時点で事前に予定した実施匹数に満たないため、現在までの進捗は厳しめに判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、繁殖状況の影響を大きく受けるため、先を見据えたコロニー規模の拡大を優先している。予定計画の遂行は十分に可能であると判断しているが、適宜、実験計画の修正も検討している。 また関連した国際共同研究が動き始めており、既存の研究計画の忠実な遂行以上に、研究目的を意図した成果につながる点を重視して、よりよい方策を見出していきたい。
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