研究課題/領域番号 |
23K19475
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
千原 康太郎 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 研究員 (00976946)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ファージ防御システム / バクテリオファージ / 薬剤耐性菌 / RNA-seq / ファージ療法 / 細胞内複合体解析 / 阻害因子 |
研究開始時の研究の概要 |
抗菌薬の効かない耐性菌が世界規模で拡大している。抗菌薬の代替として、バクテリオファージが新たな感染症治療法(ファージ療法)として注目されているが、細菌の制限修飾系やCRISPR-Casをはじめとするファージ防御システムが原因でファージ療法が失敗に終わることも多い。申請者は耐性菌ゲノムを広範囲に調べたところ、RNA標的型の新規ファージ防御システムが幅広く保存されていることを見出した。これらを制御することができれば、ファージ療法の実用化が見えてくる。そこで本研究は、RNA標的型ファージ防御システムの機能解明とその阻害因子の探索を通し、ファージ療法の実用化を目指す。
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研究実績の概要 |
初年度の研究では、大腸菌臨床分離株ライブラリーから複数の新規ファージ防御システムをクローニングし、その防御メカニズムとファージ感染防御能の評価を実施した。特に、ファージ感染に対する防御機構としてどのように機能するかを明らかにするため、30種類以上の異なる防御システムをクローニングし、そのファージ防御能力をテストした。この解析により、ファージ防御システムにはさまざまな種類があり、それぞれのシステムの防御能力にバリエーションがあることが判明した。また、各種防御システムの生化学的特徴を調査した結果、これらのシステムがファージ由来のタンパク質や核酸を認識することで活性化し、ファージ感染から細菌を保護している可能性が示された。加えて、一部のファージ防御システムにおいて、その活性を阻害するファージ由来因子の特定にも成功している。ファージ防御システムがファージ感染にどのように影響するかを詳細に調べるために、国立感染症研究所のファージライブラリーを活用した。特に、各種防御システムを構成するタンパク質内のドメインや活性部位に変異を導入し、ファージ感染防御率への影響を評価した。さらに、ファージ防御システムがどのように不稔感染(感染した細胞が自死することで、母集団全体を保護する)を誘導するのかを明らかにするために、RNA-seqを実施した。この解析によって、各種防御システムが特定のRNAを分解することが示唆され、その認識パターンや特異的な構造が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、複数の新規ファージ防御システムにおいてその防御活性が確認され、RNA-seqによってそれぞれの防御システムが標的とする基質が明らかにされつつある。加えて、一部のファージ防御システムで標的となるファージ由来因子の同定、活性を阻害するファージ由来因子の同定に成功している。しかし、当初の予定では当該防御システムを構成するタンパク質を精製し、その活性をin vitroで確認することを予定していたが、現在のところ、タンパク質の精製まで完了していないため、当初の予定より進捗が遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
一部の新規ファージ防御システムにおいて、防御システムを活性化させるファージ由来因子と、防御システムの活性を阻害するファージ由来因子の同定に成功しているため、今後これらのタンパク質を精製し、当初の予定であったin vitroの活性評価を進める。同時に、ファージ由来因子がどのようにファージ防御システムを活性化・阻害するのかをプルダウンアッセイや、毒性評価試験によって明らかにすることを予定している。
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