研究課題/領域番号 |
23K19477
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田山 舜一 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80980416)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 活性硫黄代謝 / 炎症性腸疾患 / T細胞 / 細胞周期 / 活性イオウ |
研究開始時の研究の概要 |
クローン病などの一部の炎症性腸疾患(IBD)は、T細胞の異常応答により引き起こされることが知られており、IBDの治療標的としてT細胞内代謝経路が注目を集めている。一方、最近、ヒトをはじめとする哺乳類の生体内にイオウ原子が直鎖状に複数個連結した構造物(以下、活性イオウ分子種)が存在することが明らかになり、活性イオウ分子種はエネルギー産生や、タンパク質へのイオウ修飾・タンパク機能調節を司ることが示された。しかし、免疫細胞や免疫応答における活性イオウ代謝の役割は不明である。そこで本研究では、活性イオウ分子産生酵素の遺伝子改変マウスを用い、IBD病態形成における活性イオウの役割を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
活性イオウは、ヒトを初めとする哺乳類生体内において新たに発見された分子であり、同分子の細胞内エネルギー代謝への関与が報告されていたが、免疫細胞、特にT細胞における活性イオウ代謝の役割は不明であった。申請者はこれまで、活性イオウ分子の産生量が半減したCars2+/- CD4+ T細胞では、G0期からG1-M期へのセルサイクルエントリーが亢進し細胞増殖が促されることで、大腸炎の悪化に結びつくことを示してきた。本年度は、活性イオウ代謝によるT細胞の細胞増殖制御メカニズムを、細胞増殖制御因子を網羅的に解析することで探索した。その結果、Cars2+/- CD4+ T細胞では、細胞増殖抑制因子であるp53の遺伝子発現量が減少することを見出した。すなわち、Cars2+/- T細胞において認められた細胞周期の亢進は、p53の発現量低下に起因することを示唆する結果が得られた。また、ゲノムデータの再解析により、ヒトクローン病患者由来T細胞の遺伝子発現変動を比較したところ、クローン病患者由来T細胞ではCARS2遺伝子発現量が、健常者に比べ低下していることが示された。つまり、CARS2の発現低下が炎症性腸疾患の発症・重症化と相関することをマウスのみならずヒトにおいても確認することが出来た。本年度に得られた知見を基に、次年度は、活性イオウ代謝によるT細胞の増殖制御機構をタンパク発現レベルで解析する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である活性イオウ代謝によるT細胞増殖機構の分子制御メカニズムの解析、およびクローン病患者由来T細胞における活性イオウ関連遺伝子の発現評価を行うことができ、おおむね計画通りに進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
CARS2の機能低下により、p53遺伝子の発現量が低下することが示された。そこで、p53のタンパク発現量について解析する。また、ヒトクローン病患者由来T細胞においてCARS2以外にも遺伝子発現変動の認められる分子が存在するか探索する。
|