研究課題/領域番号 |
23K19481
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0803:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
徳永 朱乃 鳥取大学, 医学部, 助教 (90632901)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インフルエンザウイルス / 増殖能 / 高増殖能株特異的遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザの重症化阻止は喫緊の課題であるが、重症化予測因子は未だ開発されていない。我々は、インフルエンザウイルスの臨床分離株の増殖能に焦点を当て、①ウイルスの持つ「増殖能」という性質が多様であること、②増殖能は「細胞傷害の程度」と「鼻汁中のウイルス量」に相関があることを明らかにした。それゆえに、増殖能は重症化マーカーの1つになり得ると考えたが、臨床分離株の増殖能に関連する責任遺伝子は知られていない。本研究では、様々な増殖能を持つ株のゲノム配列を解読し、高増殖能株、低増殖能株の遺伝的特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
インフルエンザ重症化阻止は喫緊の課題である。インフルエンザ患者の重症化リスク因子(喫煙・遺伝・基礎疾患・妊婦・肥満・年齢)については知られているが、重症化をもたらすウイルス因子については不明のままである。 インフルエンザウイルスの増殖能力がヒト気管上皮細胞損傷の程度に関連することが報告されており、ウイルスの持つ「増殖能」の特性を解明することがウイルス要因の重症化マーカー確立の一助になると考えている。研究者は、これまでにインフルエンザウイルスの臨床分離株の増殖能に焦点を当て、①ウイルスの持つ「増殖能」という性質が多様であること、②増殖能は「細胞傷害の程度」と「鼻汁中のウイルス量」に相関があることを明らかにしてきた。それゆえに、増殖能は重症化マーカーの1つになり得ると考えたが、臨床分離株の増殖能に関連する責任遺伝子は知られていない。 本研究では、高増殖能株、低増殖能株の遺伝子配列を決定し、高増殖能株に特異的なアミノ酸配列を特定することによって、ウイルス要因の重症化マーカー確立を目指す。 本年度は、高増殖能株2株、低増殖能株3株のPB1、PB2、PA、NS分節のアミノ酸配列を決定した。その結果、PB1、PB2、PA分節については高増殖能株と低増殖能株で特異的な変異を見ることができなかったが、NS分節についてはメチオニン開始から196番目のアミノ酸が高増殖能株ではグルタミン酸であるのに対して、低増殖能株ではリシンに変異していたことが分かった。この結果から、NS分節に増殖能に関連する遺伝子がある可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高増殖能株2株と低増殖能株3株について遺伝子配列を決定したところ、NS分節のメチオニン開始から196番目のアミノ酸が、高増殖能株ではグルタミン酸であるのに対して低増殖能株ではリシンに変異していたことが分かった。高増殖能株特異的アミノ酸を確認できたためおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
NS分節に増殖能に関連する遺伝子がある可能性が示唆されたことから、今後はリバースジェネティクス法を用いて、純系ウイルスを作成し、増殖能を決定する遺伝子について検証する。具体的には、遺伝子発現プラスミドのNS分節のみを高増殖能株由来のNS分節、もしくは、低増殖能株由来のNS分節に組換える。組換えたウイルスを用いて増殖能解析を行い、高増殖能株由来NS遺伝子組換えウイルスの増殖能と低増殖能株由来NS遺伝子組換えウイルスの増殖能を比較する。
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