研究課題/領域番号 |
23K19497
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 康隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (30814595)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 神経内分泌分化 / DNAメチル化 / リキッドバイオプシー / 去勢抵抗性前立腺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
去勢抵抗性前立腺癌の約20%の症例においてARシグナルを迂回する経路が活性化される事により、神経内分泌前立腺癌に進展する。特に神経内分泌前立腺癌においては、その分子メカニズムが十分に解明されていない為、疾患予後は極めて不良である。本研究では、逐次治療を経てホルモン感受性癌から神経内分泌癌へ進行する過程において、DNAメチル化の亢進が重要なエピジェネティック修飾の一つである可能性に着目した。DNAメチル化阻害剤の治療標的としての可能性を検討するだけでなく、神経内分泌前立腺癌における特異的なDNAメチル化の標的分子を同定する事で、致死性前立腺癌に対する有用なバイオマーカーを探索出来ると考えている。
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研究実績の概要 |
DNAメチル化はヒトにおける癌の発展・進行において重要な役割を果たすエピジェネティック修飾の一つである事がこれまでに明らかにされてきた。我々は、致死的な治療抵抗性前立腺癌である、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)及び神経内分泌前立腺癌(NEPC)において、DNMT遺伝子(DNMT1/3A/3B)の発現が有意に上昇している事に着目した。 結果として、NEPC細胞株を用いてDNMT1/3A遺伝子をノックアウトした所、in vitroにおいて細胞増殖能が有意に低下する事が明らかになった。さらに、in vivoにて検証した所、腫瘍の増殖・転移を明らかに抑制する事を見出した。また、神経内分泌分化を引き起こす過程においてDNAメチル化が関与するかどうかを検討した。神経内分泌マーカーの発現がDNMT遺伝子のノックアウトにより低下し、さらに過剰発現によるレスキュー実験によってそれらの発現が回復する事を見出した。次に、DNMT 阻害剤を用いてNEPCにおける抗腫瘍効果を検討した所、有意な腫瘍増殖抑制効果が認められた。また、RB1遺伝子の欠失が神経内分泌分化の重要な遺伝子変異である点に着目し、CRPC細胞株を用いてRB1欠失モデルを作成した。RB1欠失はコントロール細胞と比較し、DNMT遺伝子の発現上昇とDNMT阻害剤に対する感受性の増加を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、DNMT阻害剤との併用治療の標的遺伝子として、阻害剤投与後にメチル化レベルが低下し、さらに発現量の上昇を認める遺伝子を探索し、標的分子を同定する予定である。同定後はDNMT阻害剤との併用療法の抗腫瘍効果をin vitro 及び in vivo にて検討する。
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