研究課題/領域番号 |
23K19511
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 元彦 岡山大学, 大学病院, 医員 (30981485)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵臓がん / MHC / p53 / アデノウイルス / 樹状細胞 / 複合免疫療法 / ウイルス療法 |
研究開始時の研究の概要 |
膵臓がんはMHC class IやPD-L1の発現低下の内的要因とT細胞浸潤の低下や免疫抑制細胞の増加の外的要因を介して免疫チェックポイント阻害剤の免疫療法に対する抵抗性を獲得する。申請者の研究グループはがん特異的にp53を誘導するがん治療用ウイルスOBP-702を開発し、免疫原性細胞死の誘導や骨髄由来免疫抑制細胞の低下を介して免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を増強する成果を報告し、p53導入樹状細胞の併用がOBP-702の治療効果を増強することを確認した。本研究では、膵臓がんのMHC-I発現低下を改善するMHC-I誘導剤とp53導入樹状細胞を併用した新たな複合免疫療法の有効性を証明する。
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研究実績の概要 |
膵臓がんはMHC class I(MHC-I)やPD-L1の発現低下などの内的要因とT細胞浸潤の低下や免疫抑制細胞の増加などの外的要因を介して免疫チェックポイント阻害剤の免疫療法に対する抵抗性を獲得する。申請者の研究グループはがん特異的にp53を誘導するがん治療用ウイルス製剤OBP-702を開発し、免疫原性細胞死の誘導や骨髄由来免疫抑制細胞の低下を介して免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を増強する研究成果を報告した。また、p53導入樹状細胞の併用がp53に対するT細胞の腫瘍内浸潤を誘導しOBP-702の治療効果を増強することを確認した。 本研究では、膵臓がんのMHC-I発現低下を改善するMHC-I誘導剤をスクリーニングし、MHC-I誘導剤とp53導入樹状細胞を併用した新たな複合免疫療法の有効性を証明する。 令和5年度は、マウス膵臓がんPAN02細胞のMHC-I発現低下を改善するMHC-I誘導剤のスクリーニングを行った。MHC-I誘導剤の候補薬剤として3種類のエピジェネティック治療薬(HDAC阻害剤、EZH2阻害剤、DNMT阻害剤)を用いた。全ての候補薬剤はPAN02細胞のMHC-I発現を濃度依存的に誘導することをFACSで確認した。次に、マウスの骨髄細胞から誘導した樹状細胞(DC)の成熟マーカー発現に対する候補薬剤の影響をFACSで検討し、HDAC阻害剤はDCの成熟を抑制したが、EZH2阻害剤とDNMT阻害剤は抑制しないことを確認した。次に、候補薬剤とOBP-702を併用した場合のPAN02細胞のMHC-I発現への影響を検討し、DNMT阻害剤は他の薬剤よりも低濃度でOBP-702と併用した場合にMHC-I発現を増強することを確認した。以上より、DNMT阻害剤は他の薬剤よりも低濃度でMHC-I発現を増強し、DCの成熟には影響しないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、MHC-I誘導剤の候補薬剤として3種類のエピジェネティック治療薬を用いてマウス膵臓がん細胞PAN02のMHC-I発現を誘導することを確認した。特にDNMT阻害剤は他の薬剤よりも低濃度でMHC-I発現を増強し、DCの成熟には影響しないことを確認したことから、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、マウス膵臓がんPAN02細胞の皮下腫瘍動物モデルを用いてDNMT阻害剤とp53導入DCの併用によるMHC-I発現、OBP-702の治療効果、免疫環境への影響などをFACSや免疫組織染色で解析する。
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