研究課題/領域番号 |
23K19547
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
阿部 郁 自治医科大学, 医学部, 助教 (50986859)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バレット食道腺癌 / 脱メチル化異常 / 染色体不安定 / 胃食道逆流 / 食道胃接合部癌 / Satellite α transcript / セントロメア領域 / バレット食道 / 脱メチル化 / 染色体不安定性 / 胃酸胆汁酸 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAの脱メチル化は染色体の分配異常をもたらし、染色体不安定性から発癌に至ると考えられています。本研究では、食道胃接合部癌に関連する細胞株において、酸および胆汁酸の曝露前後ゲノムワイドな脱メチル化レベルを評価し、胃酸及び胆汁酸の曝露とエピゲノム異常との関連を評価します。また、バレット食道癌患者を対象として、バレット食道の背景となる食道扁平上皮部とバレット食道腺癌部におけるSatellite αの脱メチル化レベルを比較検討することで、新たなバイオマーカーとしての臨床応用の可能性を検討します。
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研究実績の概要 |
DNA脱メチル化異常はゲノムの不安定性を介した発癌経路における初期段階に関与していると考えられますが、そのメカニズムは明らかではありません。本研究では、胃食道逆流症を背景として誘導されるバレット食道に注目し、胃酸及び胆汁酸の曝露がDNA脱メチル化異常や染色体不安定性の誘導を介してバレット食道癌の発生に深く関わる事を検証します。 2023年度は、これまで得られた実験の再現性を検証しました。バレット食道細胞株に対して胃酸・胆汁酸(DCA)曝露を行った後、SatαとLINE-1の脱メチル化レベル、有糸分裂異常そして染色体不安定性の評価を行いました。酸の曝露下でバレット食道細胞株のSatαの脱メチル化レベルは上昇し、それに相関してSatαの発現量も有意な増加を認めました。一方、LINE-1の脱メチル化レベルは酸・胆汁酸の曝露後で変化を認めませんでした。また、有糸分裂異常を認める細胞数は上昇し、micronucleiやanaphase bridgeといった核の異型が認められました。さらに染色体のコピー数の変化を評価すると5番、7番、8番、9番、12番、20番染色体といった特定の染色体にコピー数の変化を認め、これらの変化は数回の継代を経ても維持されておりました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バレット食道癌細胞株を用いて、胃酸・胆汁酸の曝露下で脱メチル化、有糸分裂異常、染色体不安定性の評価が終了し再現性が得られた。一方で、臨床検体の確保が難しく、解析が進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的遺伝子発現の検索を追加すると共に、臨床検体の検討を進める。バレット食道癌患者を対象として、背景粘膜と癌部のSatellite αの脱メチル化レベルの比較を行います。また、非癌バレット食道患者を対象として、正常胃粘膜および食道粘膜、バレット食道粘膜でのSatellite αの脱メチル化レベルの比較を行います。
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