研究課題/領域番号 |
23K19551
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
宮本 良一 東京医科大学, 医学部, 講師 (60981339)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵臓 / 膵癌 / 膵切除後 / 3DCG / 手術シミュレーション / 画像支援 / 低侵襲手術 / 糖尿病 / 手術 / 膵機能 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、肝切除で広く認知されている画像解析ソフト(Synapse Vincent: 富士フイルムメディカル、東京、日本)で作成した3D画像を用いた手術支援技術を、膵切除へ独自拡充し、多くの有用性を報告してきた。更に、患者個別の3D画像を用いる事で、今まで自動計算が困難であった膵臓容積値の計測が簡便に計測可能となり、術前の膵切離予定位置から残膵容積値を算出する事が可能となった。 本研究にて、術前の3D画像で膵の切離位置から残膵容積値を算出し、残膵容積値と術後膵内外分泌機能不全のリスク評価を検討する事で、術前の患者教育および術後早期から介入可能となり、膵切除後の患者のQOL改善に寄与すると言える。
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研究実績の概要 |
・通常診療で撮影された術前CT画像を使用し、専用のソフトウェアを使用して3DCG画像を作成した。更に、術前カンファレンスにて外科グループ全員で3DCG画像を供覧する事で、解剖変異の多い肝胆膵手術での手術解剖イメージの向上に繋がり、手術解剖イメージの共有化や術式理解の増進効果が得られたと言える。 ・3DCG画像と実際の手術所見を比較して、両者の解剖学的整合性を外科スタッフで供覧と確認を行い、3DCG画像は解剖学的整合性が担保され、手術解剖を表現可能である事を確認した。 ・3DCG画像の解析を行い、実際の手術における膵切離位置を想定して、実際に3DCG画像上で膵切離を行うことが可能であり、膵切離の事前の手術シミュレーションとして運用することが可能であった。 ・術前画像から3DCG画像を作成し、画像解析を行うことで、膵切離位置のシミュレーションに有用であった。また、実際の臨床例を通しての3DCG画像の有用性について論文報告を行った。 ・3DCG画像上での膵切離シミュレーションを行うことで、残膵、切除膵のそれぞれの容積値の算出が可能となった。 ・残膵容積値と術後内外分泌機能不全の発症リスクの検討を行ううえで、対象患者の臨床データ解析を行い術後内外分泌機能不全の発症の有無を評価予定である。解析項目は、身長体重、併存症、血液検査、CT画像、手術関連因子(手術時間、出血量、輸血歴)、病理結果、在院日数、周術期合併症、術後補助化学療法の施行の有無である。研究目的で、上記の臨床記録を取り扱うため、所属施設の研究倫理委員会の審査を受け、研究実施の了承を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・通常診療で撮影される術前CT画像を使用し、専用のソフトウェアにて作成された3DCG画像が、実際の手術所見と比較して、解剖学的整合性が担保されている事が確認可能であり、手術解剖の再現性の高い3DCG画像を安定して作成することが可能となった。 ・3DCG画像の解析を行い、実際の手術における膵切離位置を想定して、実際に3DCG画像上で膵切離を行うことが可能であった。 ・膵切離の事前の手術シミュレーションとして運用することで、残膵、切除膵のそれぞれの容積値の算出が可能となった。 ・3DCG画像での手術シミュレーションにて測定した残膵容積値は、術後のCT画像より算出した膵臓容積値と近似しており、術前測定として運用可能であった。 ・残膵容積値と術後内外分泌機能不全の発症リスクの検討を行ううえで、対象患者の臨床データ解析を行い術後内外分泌機能不全の発症の有無を評価する。解析項目は、身長体重、併存症、血液検査、CT画像、手術関連因子(手術時間、出血量、輸血歴)、病理結果、在院日数、周術期合併症、術後補助化学療法の施行の有無である。研究目的で、上記の臨床記録を取り扱うため、所属施設の研究倫理委員会の審査を受け、研究実施の了承を得た。
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今後の研究の推進方策 |
・通常診療で撮影された術前CT画像を使用し、専用のソフトウェアを使用して3DCG画像の作成を継続研究していくとともに、臨床での実際の手術解剖をもとに、3DCG画像の解剖学的表現の精度向上を継続して行う。 ・特に、近年広く行われている、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術といった低侵襲手術においては、開腹手術とは異なり、任意の解剖学的視点が必要となる場面が多く、習熟にはある程度のトレーニングが必要である。そのため、360度任意の視点が再現可能である3DCG画像は手術解剖の共有化に大いに有用である。今後も特に低侵襲手術と3DCG画像による手術支援の研究を継続して行っていく。 ・3DCG画像による膵切離シミュレーションに関しては、腫瘍による膵実質への修飾や膵臓実質のマスキング精度の低下といった事象から影響を受けた場合、切離位置のずれ、偏移が生じることがあるため、外科医による目視、確認作業を追加することで今後さらなる精度向上を目指す。 ・残膵容積値と術後内外分泌機能不全の発症リスクの検討を行ううえで、対象患者の臨床データ解析を行い術後内外分泌機能不全の発症の有無を評価予定である。解析項目は、身長体重、併存症、血液検査、CT画像、手術関連因子(手術時間、出血量、輸血歴)、病理結果、在院日数、周術期合併症、術後補助化学療法の施行の有無である。研究目的で、上記の臨床記録を取り扱うため、所属施設の研究倫理委員会の審査を受け、研究実施の了承を得た。 ・今後は、上記の臨床データの集積、解析を行い、学会発表、論文報告を継続して行う予定である。
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