研究課題/領域番号 |
23K19566
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
前岡 侑二郎 広島大学, 病院(医), 助教 (90849382)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 低マグネシウム血症 / 低カリウム血症 / ENaC / NEDD4-2 / アルドステロン |
研究開始時の研究の概要 |
低Mg血症において、低K血症は症例の40-60%で発生し、致死的な不整脈や心停止をきたしうる重要な合併症である。結合尿細管/皮質集合管に沿ってKを排泄するROMKの機能亢進がその病因の一つであるが、遺伝性疾患や複数の動物実験において低Mg血症だけでは低K血症を来たさず、その詳細な機序は明らかではない。本研究では、ROMKを介したK排泄に推進力を与えるENaCの活性がMg欠乏下では低下することで血清K値が維持され、Mg/Na欠乏下ではアルドステロンによって亢進することで低K血症をきたすと仮説を立て、低Mg食、低Mg/低Na食を摂取したマウスを用いて明確にする。
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研究実績の概要 |
本年度においては、研究実施計画に基づき、 Mg欠乏下でのENaC活性と血清K値への影響を検討するため、まず野生型マウスに種々の濃度のMg食(Mg2+ 0.15%、0.08%、0.04%、0.02%、0.01%、0%)を与え解析を行った。その結果、食餌のMg濃度と一致して血清Mg濃度は変化したが、血清K濃度は変化しなかった。腎臓を用いたWesten blottingでは、低Mg食では切断型α-ENaC並びにγ-ENaC発現量は減少していた。アミロライド負荷試験では、通常食と比較して、低Mg食下ではアミロライド投与後の尿中Na排泄の増加が有意に減弱しており、ENaCの活性が低下していることが明らかとなった。ENaCの活性はアルドステロンによって調節を受けるが、血清Mg値と血清アルドステロン濃度には有意な相関はなく、低Mg血症下でのENaCの活性の低下はアルドステロン非依存的と考えられた。このアルドステロン非依存的なENaCの活性低下は、低Mg血症のみでは低K血症を合併しないという臨床の知見を支持する結果であった。また、低Mg血症による切断型ENaCの発現の減少は、食餌のMgの濃度を通常に戻すと改善したことから、可逆性であることが分かった。 Na欠乏はアルドステロン濃度を上昇させることができるため、 Mg/Na欠乏下でのENaC活性と血清K値への影響を検討するために、野生型マウスに通常食と低Mg/低Na食を与え解析を行った。その結果、低Mg/低Na食では血清Mg値の低下に加えて、血清K値の低下を認めた。腎臓を用いたWesten blottingでは、切断型α-ENaC及びγ-ENaCの発現量は通常食と同等であり、ENaCの活性は、Mg/Na欠乏下では維持されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食餌中のMg濃度と一致して、血清Mg値の濃度を予定通り変化させることができた。さらに、Western blottingで認められた切断型のENaCの発現量の低下とアミロライド負荷試験の結果が一致していることから、低Mg血症におけるENaCの活性が低下しているという興味深い変動を明らかにすることができた。さらにアルドステロンの上昇するMg/Na欠乏下ではこのENaCの活性が通常食と同等になることから、低Mg血症による低K血症合併にはアルドステロン濃度の上昇が不可欠であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、Mg/Na欠乏で認められた血清K値やENaCの活性に与える変化が、Na欠乏群と比較しても有意な変化であるかを確認するために、Na欠乏食とMg/Na欠乏食を摂取した野生型マウスを比較する。さらに、パッチクランプ法によりMg/Na欠乏下でのROMKの電流の亢進をin vivoで証明する。
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