研究課題/領域番号 |
23K19583
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安部 沙織 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00830093)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シェーグレン症候群 / T細胞 / 自己免疫疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
SSは慢性外分泌腺炎を主徴とする原因不明の自己免疫疾患の一つであり、国の難病に指定されている。SSでは主要標的臓器である外分泌腺にCD4陽性T細胞をはじめとするリンパ球浸潤が認められ、腺房の破壊により乾燥症状が引き起こされる。その効果的な治療法は未確立であり、根治的治療法の確立が未だ最重要課題である。申請者は先行研究において、病態形成に関与する病原性T細胞クローンの存在が示した。しかし、この病原性T細胞クローンがどの様な表現型、機能、分化傾向を示し、どの様に外分泌腺へ浸潤するかといった点に関しては不明である。本研究では疾患特異的治療法構築を目指した、病態に関与するT細胞クローンの解析を行う。
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研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)は慢性外分泌腺を主徴とする原因不明の自己免疫疾患の一つであり、国の難病に指定されている。SSでは主要標的臓器にCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、B細胞をはじめとするリンパ球浸潤が認められ、炎症細胞浸潤の持続により腺房細胞が破壊されることで乾燥症状が引き起こされる。また乾燥症状といった腺症状のみでなく、外分泌腺局所の自己免疫応答の持続は肺・皮膚・腎・神経といった多彩な全身性の臓器障害の合併をきたし、さらには主要標的臓器である唾液腺において慢性炎症の結果として発生するB細胞由来のリンパ腫の高リスクとしても知られる。現在根治治療は未だ確立されていないが、近年の知見により有効性を示す臨床研究が報告され始めている。本研究は、診断時に採取されるSS患者由来唾液腺検体及び末梢血検体を用いて、唾液腺炎の初期に浸潤するとされるCD4陽性T細胞の病原性に着目し、その表現型、機能解析、分化誘導傾向、唾液腺浸潤過程に関する解析を行い、CD4陽性T細胞を標的とした治療法の確立を目指している。具体的には、1)唾液腺浸潤T細胞と末梢血T細胞を用いたTCR解析を行い、共通T細胞クローンの同定を行う、さらに2)唾液腺浸潤T細胞と末梢血T細胞におけるT細胞サブセットの解析、を通じて唾液腺局所に浸潤する特徴的な病原性T細胞クローンを同定する。同定された病原性T細胞クローンの3)機能解析、4)炎症組織環境下における分化誘導条件の解析、を行うことで病原性T細胞のみを標的とした治療標的分子の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定として、SS患者1人の検体を用いた1)TCR解析は終了している。また同1人の結果を基にした、炎症局所で増加を認める病原性T細胞クローンの同定、及び機能解析、さらには炎症局所環境における分化誘導条件の検討も終了している。予定通りに計画は進んでおり、今後病原性T細胞クローンの分化過程において治療標的となり得る分子の候補を検討していきたいと考えている。 このため、おおむね順調に進展している、と回答したが、ヒト検体の解析においては、集団の不均一性を考慮したサンプル数が必要となってくる。そのため、現在1)、2)の工程を検体数を増やして確認作業を行なっている段階である。先のサンプルと比較し類似の結果が得られるかどうか、また臨床症状によって異なる結果を得ることになるか慎重に結果を解析し、同様の過程をえて3)、4)と検討を行なっていく予定である。TCR解析に関しては、唾液腺と末梢血を組み合わせたサンプルとして最低3ペアの検体を解析することを目標としている。現在2検体目のサンプルを処理中であり、今後3サンプルの解析が終了したのちに治療標的分子の探索へと進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は現在の進捗状況に加えてさらにサンプル数を増やして結果の再現性、確認を行なっていくことを優先的に行なっていく予定である。本研究の目的に沿い、末梢血と唾液腺を用いて局所へ浸潤する特徴的な病原性T細胞クローンの同定ができれば、その分化誘導メカニズムおよび機能解析を通じて他の免疫細胞や非免疫細胞へ与える影響も解析が可能と考える。免疫応答が唾液腺で持続する病態の解析、および臨床像との関連を解析する。そのためには、今後唾液腺検体を用いたRNA sequenceによる解析、および免疫染色による標的分子の解析、末梢血細胞サブセットを用いた機能解析、を検討している。
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