研究課題/領域番号 |
23K19587
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村本 雄哉 京都大学, 医学研究科, 医員 (60980456)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / 炎症性腸疾患 / 自己抗体 / インテグリン |
研究開始時の研究の概要 |
小児発症の炎症性腸疾患は成人発症例より重症かつ難治であり、診断困難であり、疾患特異的なバイオマーカーの開発が切望されている。 申請者は小児潰瘍性大腸炎において抗インテグリンαvβ6抗体が診断に有用であることを報告した。本研究では、小児炎症性腸疾患患者における抗インテグリンαvβ6抗体を用いた、新たな診断・病勢評価法と治療戦略の確立を目指す。 抗インテグリンαvβ6抗体を使用した新たな小児IBDの分類を試み、抗インテグリンαvβ6抗体の有無による臨床的相違を明らかにし、既存の自己抗体(pANCA、ASCA)との優位性を検証する。更に疾患活動性と抗インテグリンαvβ6抗体価の相関を評価する。
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研究実績の概要 |
申請者は小児潰瘍性大腸炎患者において感度94.7%、特異度81.3%で抗インテグリンαvβ6抗体が認められることを報告した(Muramoto. Gastroenterology. 2022)。本研究の最終目標は、小児炎症性腸疾患患者における抗インテグリンαvβ6抗体を用いた、新たな診断・病勢評価法と治療戦略の確立を目指すことである。本年度は既存のサンプルデータの臨床情報の収集およびデータ解析を主として行った。 小児の炎症性腸疾患では特に6歳未満と以上で病態が異なるという報告がされているため、まず、すでに集積した症例に関して、発症年齢のデータを取集した。さらに発症年齢によって抗インテグリンαvβ6抗体の抗体価に差があるかを検証したが、潰瘍性大腸炎においては抗体価に差は認めなかった。 また、クローン病に関しても一部に抗インテグリンαvβ6抗体陽性例を認めることがわかっている。以前の検討で抗インテグリンαvβ6抗体陽性のクローン病患者は潰瘍性大腸炎様の腸炎を持つ傾向があることを示した。そこで臨床的特徴をさらに解析した。結果、大腸炎を持つ症例でかつ、肛門病変非合併例で抗体価が有意に高いことがわかった。 また、抗体の有無によって抗体価に差があるかどうかの検討も開始している。検証できた症例は一部ではあるが、潰瘍性大腸炎例において、タクロリムスや生物学絵的製剤を用いたかどうかに応じてインテグリンαvβ6抗体の抗体価について評価を行ったが、現時点では明らかな差は見られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに収集した血清、データの解析については実績の概要について示したようにおおむね順調に進んでいる。また、その他の自己抗体測定についてのシステム構築については適切なキットの選別を行っている。 一方、経時的な変化を見るための追加血清や治療経過についての情報収集については、各施設との連携が遅れており、進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①抗インテグリンαvβ6抗体の有無による治療反応性を含めた臨床的相違を明らかにする 小児炎症性腸疾患について抗インテグリンαvβ6抗体陽性例と陰性例について、治療反応性や予後についてさらにデータを収集し、追加の検討を行う。 ②既存の自己抗体(pANCA、ASCA)との優位性を検証する 収集している血清について、既知の血清マーカーであるpANCAやASCAを評価し、治療反応性や予後を含めた臨床的特徴を分類可能であるかを解析し、これらのマーカーに対する抗インテグリンαvβ6抗体の優位性を評価する。 ③疾患活動性と抗インテグリンαvβ6抗体価の相関を評価する。 申請者らは成人潰瘍性大腸炎において抗インテグリンαvβ6抗体価と疾患活動性が正の相関を示すことを報告している。小児炎症性腸疾患症例についてさらに経時的に臨床データ・血清を収集し、抗インテグリンαvβ6抗体価の推移とMayo scoreなどの疾患活動性との相関を評価する。
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