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陽子線治療における呼吸性移動疾患の4次元線量計算分布の見える化

研究課題

研究課題/領域番号 23K19590
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0902:内科学一般およびその関連分野
研究機関大阪大学

研究代表者

冨永 裕樹  大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (80978370)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード陽子線 / 治療計画 / 放射線治療 / 粒子線治療 / 呼吸性移動 / 相互作用 / 線量計算 / 陽子線治療 / ペンシルビームスキャニング / 線量分布評価
研究開始時の研究の概要

スキャニング法を用いた陽子線治療は、優れた物理特性により高精度な放射線治療を実現する。しかし、呼吸性移動部位の疾患では、スキャンと臓器移動間の相互作用による線量の乖離が生じ、腫瘍や正常組織に対する過小および過大線量が腫瘍再発や有害事象のリスクを高める。リスク低減のためには時間軸を考慮した4次元線量分布が正確に可視化される必要がある。本研究では不規則な呼吸変化に対応するために、すでに開発済みの周期(呼吸の速さ)の変化だけでなく、振幅(呼吸の大きさ)の変化に対応できる計算システムを新たに開発し、呼吸性移動患者に対して精度が高くリスクの低い治療計画を立案することで、安全な陽子線治療の実現を目指す。

研究実績の概要

2023年度は、呼吸性移動を持つ疾患に対する陽子線スキャニング法において、ビーム照射に時間モデルを正確に計算し、呼吸によって変化する実際の線量分布を可視化することを目指した。その中で特に以下の点について検証を行った。

1.呼吸性移動疾患の相互作用を計算し、実際の線量分布として可視化するためには、ビームの照射に時間軸を付与し、呼吸性移動の周期(呼吸の速さ)と振幅(腫瘍の移動量)の変化に合わせて、異なる位置に腫瘍が存在するCT画像にそれぞれ計算する必要がある。患者の呼吸は一定の正弦波のような動きではなく、周期と振幅の複雑な変化を伴う。周期の変化に対応できる線量計算モデルは前年度に開発済みであり、2023年度はファントムを用いて計算と測定の一致度の検証を行った。従来法の検証結果は国内で複数回学会発表を行い、3本の英語論文として発表を行うことができた。2024年度は、従来法による未発表の結果について英語発表も予定している。
2.振幅の変化に対応するためには、想定する腫瘍位置からどれだけ変動があったかを計算し、振幅ずれ量としてそれを計算上に反映させる必要がある。2023年度の研究にて、そのモデルを開発することができた。これより、新たなモデルを用いた可視化計算が従来法と比べて、精度が改善しているかを検証する必要がある。すでに取得済みの測定データのみでは詳細な評価が行えない可能性があるため、購入したラジオクロミックフィルムを用いて追加検証を行い、得られた結果をまとめて国内外の学会や英語論文で発表する予定である。
新たな可視化モデルを完成させることによって、呼吸の(1)周期(速さ)と(2)振幅(腫瘍の位置、移動量)の両方の変化を正確に計算することができ、呼吸性移動疾患の陽子線治療の再発や有害事象リスクを少なくすることが可能である。以上のテーマを並行して進めており、進捗状況は順調である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究費取得初年度は、すでに開発済みであった振幅変化のみを対象とした呼吸性移動による体内線量分布の変化の見える化を検証した。並行して、従来の計算モデルによって得られた知見を論文発表にて3件行ってきた。これらの結果から、従来法による呼吸性移動の見える化の知見は学術的に認められたため、研究は順調に推移していると考える。

さらに、ここから新たな計算モデルとして振幅の変化に対応する計算モデルを開発し、代表的な照射のみの検証を行い、計算精度の正確性を評価した。計算モデルに関する紹介を海外学会で次年度に発表予定である。これらの結果をまとめて、査読付きの英語論文雑誌へ投稿を予定している。

今後の研究の推進方策

2024年度は以下の2点を推進していく。
1.周期と振幅変化に対応した新たな計算モデルの開発は完了したため、すでに取得したデータについて再計算を行い、従来法との比較検証を行う。従来法と新たな方法の両方で計算と測定が一致しないものについて、両者を組み合わせた方法を試し、計算精度がどの程度改善するかを調査する。

2.複雑な振幅変化を想定した検証は、再測定が必要な場合が存在すると考えるため、その場合は消耗品であるラジオクロミックフィルムを追加購入する可能性がある。本研究で得られた知見を海外および国内の学会で1回ずつ発表予定である。さらに、これまでの検証データをまとめ、査読付き英語論文雑誌を投稿予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Comparing interplay effects in scanned proton therapy of lung cancer: Free breathing with various layer and volume rescanning versus respiratory gating with different gate widths.2024

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tominaga, Masaki Suga, Mikuni Takeda, Yuki Yamamoto, Takashi Akagi, Takahiro Kato, Sunao Tokumaru, Michinori Yamamoto, Masataka Oita
    • 雑誌名

      Physica Medica

      巻: 120 ページ: 103323-103323

    • DOI

      10.1016/j.ejmp.2024.103323

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Experimental validation of a 4D dynamic dose calculation model for proton pencil beam scanning without spot time stamp considering free‐breathing motion2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tominaga, Masataka Oita, Junya Miyata, Takahiro Kato
    • 雑誌名

      Medical Physics

      巻: 51 号: 1 ページ: 566-578

    • DOI

      10.1002/mp.16725

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dose-volume comparisons of proton therapy for pencil beam scanning with and without multi-leaf collimator and passive scattering in patients with lung cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tominaga, Masaki Suga, Mikuni Takeda, Yuki Yamamoto, Takashi Akagi, Takahiro Kato, Sunao Tokumaru, Michinori Yamamoto, Masataka Oita
    • 雑誌名

      Medical Dosimetry

      巻: 49 号: 1 ページ: 13-18

    • DOI

      10.1016/j.meddos.2023.10.006

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Experimental validation of gated proton pencil beam scanning with 4D dynamic dose calculations2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tominaga, Masataka Oita, Takahiro Kato
    • 学会等名
      The 125st Scientific Meeting of the Japan Society of Medical Physics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 陽子線スキャニング治療におけるログファイルを用いた推定臨床線量分布の後ろ向き評価2023

    • 著者名/発表者名
      冨永裕樹, 加藤貴弘, 徳弘雄大, 笈田将皇, 西尾禎治
    • 学会等名
      第36回日本放射線腫瘍学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 深層学習機能を用いたデノイズイング処理陽子線線量分布モンテカルロ計算法の研究2023

    • 著者名/発表者名
      上中ともみ, 冨永裕樹, 徳弘雄大, 西尾禎治
    • 学会等名
      第36回日本放射線腫瘍学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 陽子線スキャニングログ線量分布におけるビームモニタ中心での線量精度低下の検証2023

    • 著者名/発表者名
      徳弘雄大, 冨永裕樹, 上中ともみ, 西尾禎治
    • 学会等名
      第36回日本放射線腫瘍学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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