研究課題/領域番号 |
23K19601
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
布施谷 清香 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 産総研特別研究員 (40977542)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 糖転移酵素 / 遺伝子改変マウス / IgA腎症 / O型糖鎖 / 疾患モデルマウス / 糖鎖異常 |
研究開始時の研究の概要 |
IgA腎症は指定難病であり、末期腎不全にも繋がる世界的に最も多い腎炎である。腎生検では糸球体内に糖鎖修飾の異常なIgA(糖鎖異常IgA)が沈着していることや、そこにIgGが共沈着し、C3などの補体成分沈着も認めることが知られているが、その原因は分かっていない。本研究では糖鎖異常に着目して、糖鎖構造改変マウスを利用した新規IgA腎症モデルマウスを開発し、IgA腎症における糖鎖構造変化が与える悪質性について明らかにすることを目的とする。これにより、長年不明であったIgA腎症とIgAの糖鎖異常の生体内での因果関係を明らかにするとともに作製したマウス利用して新たな新薬を開発することに繋げる。
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研究実績の概要 |
本年度は、新規マウスの作製と糖鎖分析に向けて系の構築を行った。糖鎖プロファイリングを定性的に特定する自動化機器を利用し、血清を用いて再現度高く測定できるプローブを発見した。さらに、2種類の抗糖タンパク質抗体を利用して、特定タンパク質の検出を同時に行い、そのシグナルで糖鎖検出シグナルを正規化することで、定量的な糖鎖プロファイリングを得られるように改良した。本年度は当方法論について3件の学会発表を国内外で行い、議論を重ね、論文を投稿した(査読中)。また、複数回の交配を経て、本年度後期には新規マウスが得られた。結果、当該マウスは尿試験紙検査では陽性とならないものの、予期せず約6ヶ月齢で死亡することが明らかになった。病理学的解析及び詳細な分子動態については来年度解析を行う。加えて、本研究で使用する2種類の糖転移酵素欠損マウスに関して論文を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はマウスを作製し、生存期間を明らかにした上で組織解析が可能になったため。また、血清を用いた全自動糖鎖プロファイリングシステムを改良することでヒト検体での測定応用が可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は主に新規マウスの病理学的解析とマウス血清中タンパク質の解析を行う。病理学的解析では、当該マウスの腎切片を用いて、HE染色やPAS染色を行い、糸球体の形態及び機能評価を行う。また、免疫蛍光染色を行い、糸球体へのIgA、補体(C3)及びIgG(免疫複合体)の沈着度を評価する。血清タンパク質の糖鎖構造変化に関しては、1) レクチンを用いた濃縮法と2) 質量分析による解析を検討する。1)では、O型糖鎖構造変化を生じた糖タンパク質を認識するレクチンを用いて濃縮し、ウェスタンブロット解析を行うことで存在量を比較する。または、抗体を用いて濃縮した上で、レクチンブロットやレクチンマイクロアレイによって糖鎖構造変化を確認する。2) では、血清に含まれる高濃度タンパク質(アルブミン、トランスフェリン、IgG)除去画分を用いて、質量分析によって糖タンパク質と糖鎖修飾サイトを確認する。同時に血清中のタンパク質量変動についても評価する。 また、腎組織以外の組織も採取して病理学的解析を行い、新規マウス死亡の原因を特定する。さらに、確立した糖鎖プロファイリングシステムを利用して血清中タンパク質の糖鎖構造変化の迅速な定量的解析を試みる。
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