研究課題/領域番号 |
23K19621
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0903:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
坂橋 優治 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, リサーチフェロー (60981909)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 心筋症 / バイオインフォマティクス |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム医療の社会実装が進む一方で、循環器領域の難病である遺伝性心筋症においては、疾患原因バリアントの同定率は40%程度であり、また心筋症病態も遺伝学的に層別化されていないことから、根治的な個別治療も難しい。そこで本研究では、疾患表現型との関連が強く創薬標的としての有用性も高い、タンパク質機能喪失(LOF)性バリアントに着目し、I. 心筋症関連バリアントのLOF性評価精度の向上を図り、Ⅱ.心筋症病態の遺伝学的な層別化に資する指標について検討することで、新規LOF性バリアントの候補リストから診断や創薬に繋がる新たなシーズを探索する。
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研究実績の概要 |
本研究ではタンパク質機能喪失(LOF)性に着目し、I. 心筋症関連バリアントのLOF性評価精度の向上を図り、Ⅱ.心筋症病態の遺伝学的な層別化に資する指標の探索に取り組んでいる。 当該年度は、LOF性評価対象バリアントとして、既知の心筋症関連遺伝子におけるミスセンスバリアントを抽出し、そこに複数の既存in silicoスコアや機能ドメイン情報及びタンパク構造に関するスコアなどを付与し検討した。作成した本バリアントリストを用いて、始めに同一遺伝子内での病原性バリアントの集積性について解析を実施し、特徴的なバリアント集積性を呈する遺伝子を複数同定するとともに、集積性のパターンから心筋症関連遺伝子のサブグルーピングを行った。現在は、サブグループ内にてタンパク質の機能(酵素、チャネルなど)における類似性の有無を検証することで、さらなる特徴量の抽出を試みている。また、種々の特徴量を付与したバリアントリストを用いて、ある特定の心筋症関連遺伝子を例に機械学習モデルの構築に取り組んだ。LightGBMを含む複数の手法について比較検証したのち、3種類の教師あり機械学習モデルを構築した。さらに、当該年度に作成した本モデルを適用して他の心筋症関連遺伝子への応用を検討している。 上記の検討を通して、心筋症関連LOF性バリアントのリスト化を進めていくとともに、国立循環器病研究センターが有する心筋症患者コホート内でのバリアント保有状況なども加味することで、心筋症病態の遺伝学的な層別化に資するバリアントの探索を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、当該年度で病原性バリアントの集積性に着目した特徴量の取得が完了した。また、心筋症関連遺伝子を例とした機械学習モデルも構築済みであることから、研究は滞りなく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、令和5年度に構築した機械学習モデルの有用性検証として、本モデルを適用することでバリアントの分類が可能な遺伝子、難しい遺伝子の調査を進める。その結果、構築済みモデルでのバリアント分類が困難であった遺伝子については、その遺伝子に合わせた新規特徴量の追加や重みづけを行った新たな機械学習モデルの構築に移行する。その際には、タンパク質の機能(酵素、チャネルなど)の類似性などにも焦点をあて、汎用性の高いLOF性評価モデルを作成する。 上記の検討に加えて、当センターが有する心筋症患者コホート内でのバリアント保有状況の調査を並行して進めることで、最終的な心筋症病態の遺伝学的な層別化に資するLOF性バリアントのリスト化に取り組む。
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