研究課題/領域番号 |
23K19632
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 守 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (30982491)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 肺虚血再灌流障害 / Toll-like receptor 4 / 肺移植 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ラット左肺移植モデルを使用して、Toll-like receptor4(TLR4)経路の薬剤的阻害が肺虚血再灌流障害(Lung ischemia reperfusion injury, LIRI)軽減に効果的であるか検証を行う。研究の第1段階として、TLR4経路の活性化とLIRI重症度の相関をラット肺移植モデルで検証する。第2段階として、実際にTLR4阻害薬、または関連経路阻害薬をラットに投与して、その効果を検証する。投与方法として、経静脈による全身投与法を想定しているが、必要時応じて当研究室で確立した肺体外循環装置を使用した投与とその効果検証も可能である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、臨床肺移植手術における肺虚血再灌流障害を緩和する治療法の開発を目指すことである。肺虚血再灌流障害は術後早期死亡の最大の原因であり、移植された肺の血管障害と肺水腫から重篤な呼吸不全に至りうる合併症である。我々はこれまで、マウス肺クランプモデルを用いた研究で、肺虚血再灌流障害にはToll-like receptor4(TLR4)経路が関与していること、およびTLR4阻害薬をマウスに投与することで肺障害を緩和しうることを報告した。今回、上記の結果を、実臨床にさらに近い状態での再現性を確認するため、マウス肺移植モデルでの検証を行った。計画申請書ではラットモデルでの検証を予定していたが、手技の完成度や、マウスモデルの方がより詳細な呼吸機能や反応経路の評価が可能であることから、マウスを用いた肺移植モデルでの検証を行った。 研究手法は、マウスを治療群(TLR4阻害薬投与)と対照群(偽薬投与群)に分けて行った。ドナーマウスから左肺を摘出し、18時間の冷虚血時間の後、レシピエントマウスに同所性左肺移植を行なった肺移植前に、治療群にはTLR4阻害薬(1.0mg/kg)を経静脈的に投与し、対照群には同量の偽薬を投与した。肺移植後に全身麻酔からマウスを覚醒させ、2時間後に肺機能の評価(気道抵抗、肺コンプライアンス等)を行うと共に、犠牲死させて移植した左肺を摘出し、移植肺の肺水腫評価のため、湿乾重量比の測定を行った。また、肺の組織学的評価と肺内サイトカイン測定を後日行うために残りの肺を適切な条件で保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の諸事情(手技の完成度や肺機能測定精度)から、動物モデルの変更(ラットからマウスへの変更)を行う必要があったため、セットアップに時間を要したが、パイロットケースを含め、これまでに行ったケースでは、どの個体もTLR4阻害薬投与群で肺虚血再灌流障害の緩和(気道抵抗や肺コンプライアンスなどの生理学的データが良好で、湿乾重量比も軽減傾向)を確認することができている。現在も、本実験を継続中である。所定の個体数の肺移植を行い、サンプル収集が完了した後、組織学的評価、サイトカイン測定を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、予定していた個体数のマウス肺移植を継続して行い、サンプル収集が完了した後、肺の組織学的評価(肺胞障害の程度、TLR4発現の程度、マクロファージ集積の程度等)と肺内サイトカイン(IL-6を含む炎症性サイトカインや好中球遊走因子、遊離したTLR4)の測定を行う予定である。
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