研究課題/領域番号 |
23K19655
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
犬飼 公一 大阪大学, 微生物病研究所, 招へい研究員 (10981110)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 創傷治癒モデル / アンギオクラインファクター / 創傷治癒 / 上皮間葉転換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、創傷治癒過程で起こる上皮細胞の上皮間葉転換に着目し、血管内皮細胞から分泌されるアンギオクラインファクターであるアペリンがその制御に関わっているのではないかという仮説を検証する。マウス創傷モデルを用いてアペリンのケラチノサイトに対する作用をvivoとvitroの両面で解析し、同時にヒト検体を用いたアペリン発現の経時的な測定と分析を行い、臨床応用を目指したトランスレーショナルな研究を行う。最終的にアペリン受容体をターゲットとした低コストで簡便な、難治性創傷疾患に対する治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、①創傷治癒におけるEMTにおいてアペリンがどのように関与しているのかを解明し、②ヒトにおける難治性創傷に対する治療薬の候補となりうるかを検討するものである。今年度は①に関して、創傷治癒に対するアペリンの機能解析をイメージングマウスを用いた実験系と、ヒト臨床検体を用いた解析を並行して行った。 まず、マウス創傷治癒モデルを作成し、Apelin-promoter(BAC)-tdTomatoを用いてApelinの発現のイメージング解析をin vivoにて行った。その結果から創傷治癒過程における増殖期に新生する血管内皮細胞から盛んにアペリンが生成されていることが確認された。アペリンのレセプターであるAPJに関しては、創傷治癒モデルのパブリックデータにおけるシングルセルRNA-seq解析の結果から血管内皮細胞での発現上昇が確認された。 また、K5-cre/Flox-EGFPマウスを用いて創傷治癒過程のイメージトレーシングが行えるかどうかの検討を行ったところ、Cytokeratin5(K5)を発現する表皮細胞の細胞系譜を追跡しえたため、今後このマウスの実験系を用いてケラチノサイトのEMTの可視化を免疫組織化学などを用いて試みる予定である。上記の実験系により、創傷治癒過程においてアペリン-APJ系がどのような機能を担っているのかを明らかにする。 またヒト創傷由来の臨床検体を用いたアペリンの機能解析においては、回収した皮膚切片や浸出液からアペリンの定量解析を行っている。現在までサンプル回収は順調であり、年齢、性別、糖尿病の有無や治癒までの期間などの臨床データの入力も少しずつ行っており、創傷治癒遅延因子とアペリンの関連についての統計解析の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イメージングマウスについては特に問題なく機能したが、アペリンやAPJのイメージング解析において、実験系の構築および解析にやや時間がかかった。ヒト創傷由来の臨床検体を用いたアペリンの機能解析においては、サンプルの収集は予定通りのペースで行えており、全体を通してはおおむね順調に推移しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は培養ヒトケラチノサイトへのアペリン添加実験などを行い、EMTマーカーの発現やマイクロRNAの発現解析を行う。また機能的解析としてトランスアッセイなどの機能的な解析も追加し、Vivoとvitroの総合的な解析を通して、アペリンの創傷治癒に関する機能を明らかにする。また、ケラチノサイトだけでなく、線維芽細胞や免疫細胞との相互作用などについても、シングルセルRNA-seqによるトランスクリプトーム解析や空間オミクス解析を用いて検討を進めていきたいと考えている。
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