研究課題/領域番号 |
23K19659
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川住 知弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90893777)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TTLL10KOマウス / チューブリンポリグリシン化 / 線毛ヒト化 / 線毛運動機能 / 線毛ヒト化マウス / 一酸化窒素 |
研究開始時の研究の概要 |
一酸化窒素(NO)は生理機能の一つとして、線毛運動賦活化作用をもつ。一方、アレルギー性鼻炎ではNOが多量に産生されるにも関わらず、線毛運動がむしろ抑制される。NOが線毛運動を抑制するメカニズムを解明するには、ヒトの線毛と分子状態の異なる実験動物はヒトの病態を十分再現できないことが予想される。そこで本研究では、“ヒトの線毛”をin vivoの実験系で解析することを可能にする“線毛ヒト化マウス”を用いて疾患モデルを作製し、NOによる線毛運動の抑制機構を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、「線毛ヒト化」である線毛軸糸の脱ポリグリシン化がもたらす生理機能を解明するため、TTLL10 KOマウスの気管線毛を用いて線毛運動の変化を解析し、低粘性条件下(1cP)では野生型と同等であることを見出した。線毛運動に関しては線毛の尖端を墨汁染色で標識し、高速カメラを接続した倒立顕微鏡で線毛打頻度、線毛打振幅、線毛打非対称性を比較定量解析し、全ての項目で有意差がないことが示された。この発見は、気道粘液が低粘性になり得る疾患モデルを解析する際に野生型マウスがヒトの線毛機能を再現できる可能性を示唆する。本研究はアレルギー性鼻炎による粘液線毛クリアランス機能低下のメカニズムを解明することを目的とし、「線毛ヒト化」マウスを用いて疾患モデル解析を行うことを予定しており、高粘性条件下での追加実験を要すると考えている。 また、線毛軸糸ポリグリシン化の生理機能を評価するため、ヒト気道上皮細胞を「非ヒト化」し、線毛運動を解析する必要がある。そこで気液界面培養法を用いてヒト気管上皮由来の気道上皮細胞を線毛分化させ、TTLL10の過剰発現を試みた。遺伝子導入に関しては導入効率の観点からウイルスベクターを用いることとした。未分化時にレンチウイルスベクターを用いてTTLL10-EGFP遺伝子を導入し、目的遺伝子が導入されたことを確認した。今後、TTLL10遺伝子をノックインしたヒト気道上皮細胞を分化させ、線毛軸糸のポリグリシン化を確認し、上記と同様の方法を用いて、線毛運動を解析する追加実験を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「線毛ヒト化」マウスの気道において、低粘性条件下での線毛運動が野生型と同等であることを見出し、チューブリンポリグリシン化の生理機能の一端を解明した点で、当初の計画通りの成果と考える。
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今後の研究の推進方策 |
脱ポリグリシン化の生理機能に関しては、高粘性条件下でTTLL10 KOマウスと野生型マウスの線毛運動における相違を検証する。ポリグリシン化の生理機能に関してはTTLL10遺伝子をノックインしたヒト気道上皮細胞を線毛分化させ、線毛軸糸のポリグリシン化、線毛運動の変化について検証する。その後、TTLL10 KOマウスのアレルギー性鼻炎モデルを作製し、粘液線毛クリアランス機能について検証する。
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