研究課題/領域番号 |
23K19667
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
草本 朱里 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00804113)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多嚢胞性卵巣症候群 / 腸内細菌叢 / 胎内アンドロゲン曝露 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対する腸内細菌叢をターゲットとした治療さらに予防戦略を開発することを目的とする。より効果的な介入時期を検討するために、胎内アンドロゲン曝露を受けて出生した雌仔に対し、里親モデルを用いて胎内・生育環境それぞれにおけるPCOSの生殖・代謝表現型、腸内細菌叢への影響について検証する。さらにこの観察研究の結果を参考に、母獣あるいは出生後早期の雌仔に対してプロバイオティクス(Clostridium butyricum MIYAIRI)投与を行い、PCOS発症予防効果の検討を行う。
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研究実績の概要 |
①里親モデルを用いた、胎内アンドロゲン曝露(Prenatally androgenized, PNA)を受けて出生した仔のPCOS表現型と腸内細菌叢の検討を行った。具体的には、対照群、胎内環境のみ曝露された群、胎内および成育環境どちらも曝露された群の3群を比較することで、胎内環境、成育環境それぞれがPCOS表現型に与える影響について検証した。その結果、PNAを受けて出生した雌仔の成育環境を変化させることで、PCOS表現型とくに代謝表現型が改善された。さらに母仔の糞便について16SrRNA解析を行った結果、胎内環境のみ曝露された群は、思春期以前では、対照群に類似した腸内細菌叢を示したが、若年成人期以降では対照群、胎内および成育環境どちらも曝露された群とは異なる腸内細菌叢の変化を示した。この結果より、胎内環境、成育環境の両者がPCOS発症、腸内細菌叢へ影響することが示唆され、妊娠中の母、出生後早期の仔を対象とした腸内細菌叢への介入がPCOSの発症予防に繋がる可能性が示唆された。次の段階として、母獣と出生仔へのプロバイオティクスによる腸内細菌叢への介入を行い、PCOS表現型が改善するかを②で実証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①里親モデルを用いた、PNAを受けて出生した仔のPCOS表現型と腸内細菌叢の検討について研究を完遂させ、以下論文化、学会発表を行った。 ・Kusamoto A et al. “Effects of the prenatal and postnatal nurturing environment on the phenotype and gut microbiota of mice with polycystic ovary syndrome induced by prenatal androgen exposure: a cross-fostering study.” Front. Cell Dev. Biol.: 2024; 12:1365624 ・第76回日本産科婦人科学会学術講演会 ②プロバイオティクス投与によるPCOS発症予防効果の検討について ①の結果を参考に、母獣と出生仔の腸内細菌叢へのプロバイオティクスを用いた介入実験を開始した。具体的にはClostridium butyricum MIYAIRI (ミヤBM、一般名:酪酸菌製剤錠)を投与し腸内細菌叢を正常化することにより、PCOS表現型が改善するかについて非投与群と比較を行う。
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今後の研究の推進方策 |
②プロバイオティクス投与によるPCOS発症予防効果の検討 今後はPCOS表現型、腸内細菌叢解析を行い、腸内細菌叢を介したPCOS発症予防の可能性について検討する予定である。
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