研究課題/領域番号 |
23K19683
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朴沢 美生 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20980519)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 口腔機能 / 小児 / 口唇閉鎖 / 口腔内圧 / 複合センサー / 口唇 / 複合センサ / 3dMD |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会において介護予防は重要な政策のひとつで、歯科領域では口腔機能に注目が集まっている。小児期に一定レベルまで口腔機能が獲得できないことが問題視される一方、小児の口腔機能評価に関する知見は十分ではなく、客観的指標を確立することが急務である。本研究では、口腔機能時の口腔内圧制御機構と口唇の発達変化を解明することを目的とし、口腔機能評価の客観的指標や口腔機能発達支援の確立を目指す。口唇閉鎖圧・口腔内圧・口輪筋筋電図の同時計測システムおよび超高速三次元表面形態撮影装置を用いて、口腔機能動作における口腔内圧形成と口唇閉鎖機能の相関性や、顎顔面の成長発育に伴う口唇の形態的変化を、定量的に検証する。
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研究実績の概要 |
口腔機能は様々な口腔周囲筋や軟組織が関与し、動作を経時的に行うため、計測や解析には口腔動作や計測のパラメータの選定が重要である。多種多様な口腔機能のうち摂食嚥下に着目し、スプーンにのった食品を上唇で捕食した時の口唇圧を計測したところ、口唇圧発生が成人と小児で異なり、口唇圧と口腔内圧のコントロールが口腔機能の解明に重要であることを明らかにした。本研究課題では、口唇閉鎖圧と口腔内圧の関係をさらに調査するため、これらに加えて口輪筋活動量が計測可能な機器を用いて詳細な情報を取得し、評価することを主な課題とし、加えて、超高速三次元表面撮影装置から口唇の発達変化を明らかにすることを目的としている。これまで口唇機能の測定には口唇閉鎖力測定装置が多く用いられ、ボタンプル法を始めとし、マウスピース法や多方位口唇閉鎖圧測定装置等が存在するが、いずれも口腔機能を評価するには口唇閉鎖力という評価項目だけでは、口腔の閉鎖状態についての評価は部分的になってしまうという点で限界がある。評価項目が増え、それぞれの評価項目間での相互関係が明確になる点において本研究課題の優位性がある。本研究の対象者である小児を申請者の所属機関にて募り、動画を用いた一定の指示で複合センサーにより口唇閉鎖圧と口腔内圧、状口輪筋活動量の計測、加えて超高速三次元表面撮影装置を用いて安静時と動作時の口唇を撮影する。撮影後、解析ソフトにて、組織の形態の基準座標系を設定、各店の距離や角度の算出ならびに体積を計算し、形態的分類を行うことを計画している。複合センサーのデータからは最大値や積分値を求め、相関関係を検索する。また、同時に対象者の程者への質問調査による口腔機能に関する情報から、口唇機能と形態の関連性についての検討を行う計画としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の研究計画書に沿い、おおむね実施することができた。初年度は準備段階でもあるため、まず各機器類の調達と設備の設定を行った。具体的には、超高速三次元表面形態撮影の機器類と解析ソフトの設定を行った。さらには研究協力者とオンライン上で打ち合わせを行い、作業内容の確認や情報収集を行うとともに、協力者より助言を得た。ほかにも、口腔機能に関する情報を得るため、対象者の保護者に向けた質問調査票の作成を行った。また、学会参加にて情報収集を行い、口腔機能に関する研究の新たな知見を得た。上記順調である一方で複合センサーの調達は、昨今の感染症やウクライナ情勢の影響で部品の入手が難しく、納品が翌年度となる予定である。本年度中はすでに手元にあった複合センサーを用いて計測を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である2024年度も、研究計画に従って実施する予定である。さらに調査対象者の人数を増やし、解析を進める。複合センサーを用いて得られた、口唇閉鎖圧から最大口唇閉鎖および積分値、口腔内圧から最大陰圧および積分値、口輪筋活動量から整流化した積分値を算出する。口唇閉鎖圧と口腔内圧、口輪筋活動量の相関関係を検索し、小児と成人の比較から小児の特徴を明らかにし、洗口の発達について考察する。超高速三次元表面撮影装置のデータから軟組織形態の計測点の距離や角度の算出を行い、口唇の形態や体積を検討することにより、口唇の形態分類を目指す。また、質問票の回答から得た情報等が算出したデータと関連する因子を検索する。本研究課題より得られた成果は、関連学会での発表を行い、研究成果を周知するとともに、同様に研究成果を論文としてまとめ、国内外へ口唇機能についての情報を広く公表する。
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