研究課題/領域番号 |
23K19685
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小野 喜樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30983704)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Wnt/β-cateninシグナル / セメント質 / 歯根膜 / 歯根膜インプラント |
研究開始時の研究の概要 |
天然歯と同様の線維性結合を有する歯根膜インプラントは,より天然歯に近いインプラントとして,従来の骨結合型インプラントよりも生体親和性の高い欠損補綴を提供できる可能性がある.申請者らは,再生過程の歯周組織を解析した結果,歯根膜細胞におけるWnt/β-cateninシグナルの亢進がセメント質の添加を強力に促進することを見出し,この技術の応用により人工材料表面におけるセメント質の形成が可能となるのではないかとの着想を得た.本研究では,Wnt/β-cateninシグナルの亢進によりインプラント体の表面にセメント質の形成を促すことで歯根膜インプラントの開発を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,マウス臼歯の腎被膜下への移植による異所性の歯周組織再生モデルを用いて,網羅的遺伝子発現解析によりセメント質形成への関与が示唆されたWnt/β-cateninシグナルの亢進により,人工材料の表面にセメント質を形成することを目的としている. 今年度では以下の研究を行った. ①Wnt/β-cateninシグナルを恒常的に亢進させたマウスの臼歯を同腹の野生型マウスの腎被膜下に移植したところ,セメント質の添加が有意に促進された.一方で、Wnt/β-cateninシグナルを抑制するマウスの臼歯を同腹の野生型マウスの腎被膜下に移植したところ,セメント質の添加が有意に抑制されたことから,Wnt/β-cateninシグナルはセメント質の形成を制御することが明らかとなった. ②本研究では,Wnt/β-cateninシグナルを亢進させたマウスの臼歯から採取した歯根膜組織から作製した歯根膜細胞シートを人工材料の表面に貼付する必要があるため,歯根膜細胞シート作製のプロトコールを確立する必要がある.野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を,温度応答性の培養皿(UpCell, CellSeed)上で培養することで,歯根膜細胞シートの作製のためのプロトコールを確立した.また、野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて製作した歯根膜細胞シートを,脱細胞処理したマウス臼歯に貼付して腎被膜下移植を行い,組織解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画に則り,当初の予定通り以下の3つの研究を進め,データが得られた. ①Wnt/β-cateninシグナルの制御によるセメント質形成への影響の解析 ②歯根膜細胞シート作製プロトコールの確立 ③野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて製作した歯根膜細胞シートを,脱細胞処理したマウス臼歯に貼付して腎被膜下移植を行い,組織解析
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画に従い,令和4年度に行う予定である「Wnt/β-cateninシグナルがインプラント表面のセメント質再生に及ぼす影響の解析」ならびに「インプラント体表面におけるセメント質の再生を担う細胞の系譜解析」を行う. Wnt亢進マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて歯根膜細胞シートを調整する.これをHApまたはTiインプラントの表面に貼付して腎被膜下に移植し,インプラント体表面における歯周組織の再生能を組織学的に解析する.また、Cre/loxPシステムにより,特異的な遺伝子プロモーター活性のもとで細胞標識が可能なマウスを用いて時空間的な細胞動態の可視化を行い,セメント質の再生に寄与する細胞とその分化機序を明らかにする.
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