研究課題/領域番号 |
23K19692
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
谷口 友梨 広島大学, 医系科学研究科(歯), 特任助教 (40981337)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 歯周炎 / カルバミル化 / 関節リウマチ / LL37 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周炎が関節リウマチ(RA)の増悪に関与していることが報告されている。しかし、全身性に慢性炎症を引き起こすRAが歯周組織局所に与える影響については不明な点が多く、歯周炎、RAはともに骨の破壊を伴う炎症性疾患であると捉えると、両者が密接にリンクしていると予想される。したがって、本研究目的は、関節リウマチ患者における歯周炎増悪メカニズム解明に着目し、特に、シトルリン化タンパクとともにRA増悪の原因タンパク質である、カルバミル化タンパクが歯周炎増悪に与える影響について検討する。
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研究実績の概要 |
歯周炎が関節リウマチ(RA)の増悪に関与していることが報告されている。そのメカニズムの1つとして、申請者らのグループは歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis(P.g)感染による炎症、腸内細菌叢の変化が影響することを明らかにしてきた。しかし、全身性に慢性炎症を引き起こすRAが歯周組織局所に与える影響については不明な点が多く、歯周炎、RAはともに骨の破壊を伴う炎症性疾患であると捉えると、両者が密接にリンクしていると予想される。したがって、本研究目的は、関節リウマチ患者における歯周炎増悪メカニズム解明に着目し、特に、シトルリン化タンパクとともにRA増悪の原因タンパク質である、カルバミル化タンパクが歯周炎増悪に与える影響について検討する。具体的には、歯周組織における自然免疫に関与する抗菌ペプチドLL37カルバミル化による歯周炎増悪の影響についてin vitro、in vivoで明らかにすることを目指し、①カルバミル化抗菌ペプチドLL37の作製と歯周病原細菌に対する抗菌活性の検討する②RA患者由来血清中のカルバミル化タンパク質、CaLL37量の測定を行い検討する③歯周炎-関節炎モデルマウスにおけるLL37、カルバミル化LL37量の測定を行い検討する。本年度は、研究計画1のカルバミル化抗菌ペプチドLL37の作製と歯周病原細菌に対する抗菌活性の検討を行った。抗菌ペプチドLL37とCaLL37をP.g感染させたところカルバミル化の有無によって、抗菌活性に差異が生じることを突き止めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画1のカルバミル化抗菌ペプチドLL37の作製と歯周病原細菌に対する抗菌活性の検討を行った。研究計画1に関しては、P.gに対するLL37とカルバミル化LL37の抗菌活性を検討し、細菌培養を含めた実験手技手技を確立した。LL37がカルバミル化の有無によって、P.gに対する抗菌活性に差異が生じることを突き止めた。以上のことから研究計画が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、カルバミル化抗菌ペプチドLL37の作製と歯周病原細菌に対する抗菌活性の検討を引き続き行う。具体的には、抗菌ペプチドLL37とCaLL37、特異的ポリクローナル抗体を作製する。これらを用いて、歯周病原細菌に対する抗菌活性をPhosphate buffer法、MIC法、菌体表層の電化の測定、透過型電子顕微鏡を用いた菌体の観察を行う。そして、歯肉上皮細胞(HGEC)に対してPorphyromonas gingivalisと共にLL37とCaLL37を作用させ、LL37の抗炎症作用がLL37とCaLL37でそのように違うかRNA sequenceを行い網羅的に解析する。また上清中のエクソソームを精製し、内包するmicroRNAについて次世代シークエンサーで解析する。加えて、LL37のレセプターP2X7とFPRL1に対するLL37とCaLL37の結合、結合後のシグナルをRNA sequenceの結果をもとにGene Ontology(GO)解析、KEGGパスウェイ解析で明らかにする。また、広島大学病院リウマチ・膠原病科を受診したRA患者の血清を用いて、血液中のカルバミル化タンパク量とCaLL37量を測定する。関節リウマチ患者の関節炎症状にカルバミル化タンパク、CaLL37が影響するかを検討する。また歯周病原細菌に対する血清抗体価検査との相関から歯周炎への影響を検討する。さらに、血清採取済の患者のうち、当院歯周診療科受診中の患者について、PISA歯周炎との相関、歯周病治療との相関を検討する。そして、歯周炎-RAモデルマウスで、炎症組織及びマウス血清中LL37とCaLL37量を測定する。マウスの関節炎スコアと歯周炎状態の比較を血清学的、組織学的に行う。以上から、カルバミル化タンパクが歯周炎増悪に与える影響、メカニズムを明らかにする。
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