研究課題/領域番号 |
23K19710
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
布川 裕規 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70981760)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 歯原性癌腫 / 硬化性歯原性癌 / 歯原性腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
硬化性歯原性癌 (SOC) は、豊富な線維増生を伴って細い索状に増殖する特徴的なパターンをもつ顎骨内に生じる低悪性度の癌であるが、ときに予後不良な低分化な骨内原発扁平上皮癌との鑑別を要する。これらの鑑別は予後予測の観点から重要だが、現状は形態的な違いのみにより分類されており、客観性の高い診断マーカーは確立されていない。本研究では、SOCと骨内原発扁平上皮癌との相違点に着目して空間的遺伝子発現解析による網羅的解析を行い、これらの鑑別に有用な診断マーカーを確立することを目的とする。本研究は、より客観的な歯原性癌腫の診断分類を可能とし、歯原性癌腫の適切な治療戦略に結びつける為の基盤となり得る。
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研究実績の概要 |
硬化性歯原性癌 (Sclerosing odontogenic carcinoma) は、2017年に改定されたWHO分類 Head and Neck Tumours で新しく分類された歯原性癌腫である。硬化性歯原性癌は比較的予後良好な低悪性度の悪性腫瘍と考えられているが、時として、予後不良な低分化な骨内原発扁平上皮癌との鑑別を要することがあり、これらの鑑別は予後予測の観点から非常に重要となる。しかし、硬化性歯原性癌はこれまでに分子病理学的な検討に乏しく、客観性のある診断に有用な免疫染色や遺伝子異常は報告されていない。本研究では、硬化性歯原性癌の分子病理学的特徴の解明を目標とし、硬化性歯原性癌と骨内原発扁平上皮癌との相違点に着目して遺伝子発現解析による網羅的解析を実施し、これらの鑑別に有用な分子病理学的マーカーを探索する。 まずは2016年~2022年に自施設にて診断された下顎骨原発の悪性腫瘍を現行のWHO分類の診断基準に照らし合わせて再検討し、硬化性歯原性癌を3症例、骨内原発扁平上皮癌を11症例抽出した。これらの検体を用いて、予備検討として、一般的に扁平上皮癌において異常が見られる頻度の高いp53の発現について免疫染色にて検討したところ、硬化性歯原性癌では骨内原発扁平上皮癌と比較してp53の発現異常のパターン(明らかな過剰発現または完全陰性)の頻度が低い傾向にあった。今後は2015年以前に診断された下顎骨原発の悪性腫瘍を現行のWHO分類に準じて再検討して、さらなる症例の抽出を行うとともに、これらの検体を使用して網羅的遺伝子発現解析を進め、その結果を基に硬化性歯原性癌と骨内原発扁平上皮癌との鑑別に有用なマーカーの検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者の所属する研究室の同僚(講師)の急逝に伴う人員不足により、学生教育および大学病院での臨床業務の負担が増したため、研究の進捗がやや遅れている。現在、人員補充により人員不足は解消される見込みであり、研究時間を十分にとるとともに、研究協力者とのミーティングを綿密に行うことにより効率化を図り、研究の遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
クオリティチェックを含めた症例の抽出の後、網羅的遺伝子発現解析を行う。解析結果を基に、硬化性歯原性癌および骨内原発扁平上皮癌の全症例のFFPE標本を用いて免疫組織化学的手法によってタンパク発現解析を行い、診断に有用なマーカーの検討を行う。遺伝子の増幅や欠失、転座等が疑われる結果が得られた際には、必要に応じてFFPE標本を用いたFISHを行い、診断的有用性につき検討する。
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