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アミノメタボリズム活性型歯周組織再生アプローチの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23K19761
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0907:口腔科学およびその関連分野
研究機関大阪歯科大学

研究代表者

李 潤伯  大阪歯科大学, 歯学部, 研究員 (60984622)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード必須アミノ酸 / 歯周組織再生 / 歯根膜幹細胞
研究開始時の研究の概要

生体組織にはグルコース代謝以外にも,アミノ酸代謝や脂肪酸代謝など様々な代謝経路が存在し,生体の恒常性を維持している。しかしながら,これらの代謝経路と歯周組織再生に及ぼす影響は解明されていない。したがって,本研究では,申請者が解明してきた研究成果をもとに, アミノ酸代謝における歯周組織再生メカニズムについてin vitro, in vivo両面から検討し,アミノ酸代謝を応用した新規歯周組織再生治療薬の創製を目的とした基盤的研究を行うことである。

研究実績の概要

細胞代謝は、生体組織の恒常性維持に不可欠であり、特に歯周組織の再生において重要な役割を果たす。本研究は、細胞内のグルコース代謝とアミノ酸代謝が歯周組織再生に及ぼす影響に焦点を当てた。今までは、グルコース代謝が歯肉線維芽細胞のオートファジーを誘導し、創傷治癒を促進することを明らかにした(Li R, et al. Sci Rep 2022, 12, 1230)。さらに、令和5年度には、アミノ酸代謝が硬組織分化に関与する可能性について検討し、必須アミノ酸が骨芽細胞分化を制御する新たな知見を提供した(Li R, et al. Biochem Biophys Res Commun. 2023; 672: 168-176)。
本研究の目的は、細胞のアミノ酸代謝が歯周組織再生に応用できるかを分子生物学的・遺伝子レベルで検討し、新規歯周組織再生療法の開発に寄与することである。これにより、細胞代謝を活性化させることで歯周組織再生を促進する、新しい治療法の基盤を構築することを目指している。
研究は、in vitroおよびin vivoの両面から進められ、特にin vivo実験ではSD系ラットを用いた骨欠損モデルを通じて、アミノ酸代謝が歯周組織再生をどのように促進するかを評価する。本研究は、これまでの歯周組織再生研究とは異なる新たなアプローチを提供し、細胞代謝を利用した治療法の可能性を探るものである。
さらに、申請者は国内外の学会においても積極的に成果を発表しており、2023年度日本歯科保存学会で奨励賞を受賞し、業績を公表している。これらの活動が、本研究の学術的価値と応用の可能性を広く認識させるものとなっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究プロジェクトは、細胞のアミノ酸代謝が歯周組織再生に及ぼす影響を探求し、新規歯周組織再生療法の開発を目指している。これまでの進捗は全体的に順調であり、令和5年度の成果として重要な学術論文の公表と学会発表を行うことができた。
具体的には、必須アミノ酸の欠乏がマウスの骨芽細胞様細胞においてDNA損傷とアポトーシスを誘発することを「International Journal of Molecular Sciences」で公表し(2023年、Vol. 24, 15314)、同様に「Biochemical and Biophysical Research Communications」にて、必須アミノ酸欠乏が細胞周期の停止、オートファジーの誘導、及び骨芽細胞の分化能の抑制に寄与することを報告した(2023年、Vol. 672, pp. 168-176)。
また、第66回春季日本歯周病学会学術大会での発表では、グルコース飢餓による酸化ストレスがヒト歯肉線維芽細胞における炎症性サイトカインの発現とオートファジーを誘導する研究が高く評価された(2023年5月26日、高松)。
自己評価としては、研究の進行は計画通りに進んでおり、期待された研究成果を得ることができている。特に、細胞代謝が歯周組織再生に与える影響を明らかにすることで、臨床応用に向けた基盤を確実に構築している。引き続き、in vitroおよびin vivoモデルを用いた実験を進め、歯周組織再生におけるアミノ酸代謝の役割をさらに詳細に解明する予定である。

今後の研究の推進方策

本研究課題は、歯周組織再生における細胞代謝の役割を解明し、アミノ酸代謝を応用した新規治療法の開発を目指している。今後の推進方策として、以下の点に焦点を当てて研究を進めることを計画している。
まず、現在までの研究成果を基に、必須アミノ酸の具体的な作用メカニズムと歯周組織再生への影響をさらに深く探求する。具体的には、in vitro および in vivo の両モデルを用いて、アミノ酸が歯根膜幹細胞や骨芽細胞の分化に及ぼす具体的な影響を詳細に解析する。これには、遺伝子発現の変化を詳細に調査し、シグナル伝達経路の活性化状況を明らかにすることが含まれる。
次に、特定されたアミノ酸を用いた新しい歯周組織再生モデルの開発を進める。これは、ラットなどの動物モデルを用いて、実際の歯周病モデルにおける再生効果を検証することで、臨床応用への道を探るものである。この段階では、特定アミノ酸の安全性と効果を評価し、最適な投与方法や治療プロトコルの開発を行う。
さらに、研究成果の公表を積極的に行い、学術界内外における認知度を高める。国内外の学会での発表や、高影響力のある学術雑誌への論文投稿を通じて、研究の進捗状況を共有し、研究成果を広く発信する。また、他の研究機関や産業界との連携を強化し、多角的な視点からのアプローチを試みる。特に、バイオマテリアルや製薬会社との協力により、新規治療法の商業化に向けた準備を進めることも視野に入れている。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Essential Amino Acid Starvation-Induced Oxidative Stress Causes DNA Damage and Apoptosis in Murine Osteoblast-like Cells2023

    • 著者名/発表者名
      Li Runbo、Kato Hirohito、Fumimoto Chihiro、Nakamura Yurika、Yoshimura Kimihiro、Minagawa Emika、Omatsu Keiju、Ogata Chizuko、Taguchi Yoichiro、Umeda Makoto
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 20 ページ: 15314-15314

    • DOI

      10.3390/ijms242015314

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Essential amino acid starvation induces cell cycle arrest, autophagy, and inhibits osteogenic differentiation in murine osteoblast2023

    • 著者名/発表者名
      Li Runbo、Kato Hirohito、Nakata Takaya、Yamawaki Isao、Yamauchi Nobuhiro、Imai Kazutaka、Taguchi Yoichiro、Umeda Makoto
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 672 ページ: 168-176

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.06.055

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] グルコース飢餓による酸化ストレスがヒト歯肉線維芽細胞における炎症性サイトカインの発現とオートファジーを誘導する2023

    • 著者名/発表者名
      李 潤伯,嘉藤 弘仁,田口 洋一郎,万代 千晶,尾松 糸樹,秋本 秀樹,水谷 翔,吉村 公博,森 祥太郎,梅田 誠
    • 学会等名
      第66回春季季日本歯周病学会学術大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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