研究課題/領域番号 |
23K19807
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
木下 有紗 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (90979999)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 病院前医療 / 院外心停止 |
研究開始時の研究の概要 |
奈良県内の心原性の院外心肺停止症例の発生場所、時間経過、搬送先病院、病院前医療介入の有無について調査する。3次医療機関や循環器内科専門医が在籍する病院に搬送されなかった症例に対して、病院前医療が介入した場合に医師接触までの時間をどれほど短縮できるか推定する。また、都市型、郊外型、過疎地型の3つの地域に分け、病院前医療の介入効果が期待できる地理的条件を求める。 全国を10万程度に分割した小地域の人口重心を求め、3次医療機関や循環器内科専門医が在籍する病院までの距離および搬送時間を推定する。さらに、①で求めた地理的条件を用いて、全国の院外心肺停止患者についてのドクターヘリが効果的な地域を可視化する。
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研究実績の概要 |
本研究では①院外心停止患者の搬送先に関しての実態調査②全国の院外心停止患者のドクターヘリの効果的な地域の可視化の2点について明らかにすることを目的としている。今年度は①を中心に研究を行った。 目撃ありの院外心停止は、体外循環を用いた心肺蘇生(ECPR)の適応の可能性があるため、救命センターや循環器内科医が対応可能な病院へ搬送された方が社会復帰率は高いと考えらえるが、ECPRの効果については賛否が分かれている。ECPR開始までのlow-flow Timeが短い方が予後がよい報告は散見されるが、発生場所とECPRが可能な病院との地理的位置関係から病院選定と予後について検討した報告はほとんどないため、調査することとした。 奈良県で2015年から2021年の間に発生した18歳以上の心原性院外心停止症例:1393件のうち、Arc GIS proを用いてECPRが可能な病院に10分以内で搬送できる範囲で発生した症例に限定し、搬送先をECPR可能病院群と他病院群の2群に分けて比較を行った。 対象症例は292件(ECPR可能病院群173例vs他病院群119例)であった。初期波形ショック適応率は 25.4% vs 16.8%(44例vs20例, p=0.086)、覚知から病着までの時間は31.5分 vs 33.7分(p<0.05)、1か月生存率は13.3% vs 5%(23例vs6例,p<0.05)、神経学的予後良好率は7.5% vs 1.7%(13例vs2例, p<0.05)であった。 ECPRが可能な病院に10分以内で搬送できる範囲に限った場合、心原性OHCAはECPR可能病院に搬送された症例に神経学的予後良好例が多い傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象症例は1000件以上あったが、データ欠損等を削除していくと、実際の対象症例は300件弱となってしまった。n数の減少により、予定していた統計解析を行うことができず、解析方法や対象症例を再検討せざるを得なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
ECPR可能病院に10分以内に搬送できる範囲の症例のみを対象としたが、それ以外の範囲の症例についてDr carやDr Heliが介入した場合にどれほど時間短縮できるかを検討していく。また、実際にDr carやDr Heliが介入した症例についても、介入が適切であったかについて検討していく。
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