研究課題/領域番号 |
23K19808
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小林 竜 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 助教 (20980600)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脳卒中 / ADL / 予後予測 / ポジティブデビアンス / 回復期リハビリテーション病棟 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究において,脳卒中患者の回復期リハビリテーション病棟退院時におけるADL帰結を予測する比較的精度の高い予測式が数多く報告されている.一方で,予測式による予測を上回ってADLが改善する症例が例外的に存在する.このような例外的に予測を上回ってADLの改善を示す脳卒中患者に共通する特性およびリハ実践内容を明らかにすることができれば,これまであまり着目されてこなかった当事者の潜在的な強みを生かしたリハの実践に応用できる可能性がある.本研究ではポジティブデビアンスの概念に基づき,入院初期の予測を上回ってADLの改善を示した脳卒中患者の特性を量的研究および質的研究の双方向から解明することを目指す.
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研究実績の概要 |
2023年度は、以下に述べる2つの研究を実施した。第1に、日本の脳卒中患者の活動・参加に関する予後予測研究のスコーピングレビューを行なった。本研究の目的は日本における脳卒中患者の活動と参加に焦点を当てた予後予測研究の範囲、知見、ギャップをスコーピングレビューにより明らかにし、この分野における今後の研究の指針を示すことであった。わが国における脳卒中患者の活動・参加に関する予後予測研究で最も多く扱われていたアウトカムはFIMなどのADLスコアに関するもので34件(39.5%)、次いで歩行能力に関するもので26件(30.2%)であった。本領域の研究の特徴として予測モデルや指標の妥当性について検証群を用いて検証している研究は少ないことが挙げられた。これらの結果をまとめた論文は近日中、学術誌に掲載予定である。 第2に、脳卒中患者のADLを予測する既存モデルの外的妥当性の検証を行った。この予測モデルは、年齢や認知機能などの因子の影響を層別化し、影響係数を乗じることで運動FIM利得と退院時の運動FIMスコアを予測する手法を用いていた。この研究の結果は本予測法の外部妥当性を保証するものであったが、残差(実測値と予測値の差)は比較的大きかった。つまり、予測から大きく逸脱した症例が一定数存在することが示され、今後はそのような症例の特徴を明らかにする必要性が示された。これらの結果をまとめたうえで論文投稿を行い、現在は査読審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までは概ね順調に進展している。論文投稿も順調に行えているほか、新規研究実施へ向けて研究倫理審査や研究実施施設との調整も予定通りに進んでいる。今後は、研究データの収集状況に応じて研究計画を適宜修正しながら進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究は脳卒中患者の活動・参加に関する予後予測研究のスコーピングレビューと脳卒中患者のADLを予測するモデルの外的妥当性の検証が主であった。2024年度はこれらの研究を基礎として、入院時の予後予測を上回ってADL改善を示した脳卒中患者のポジティブ・デビアントな行動特性について解明していく必要がある。この研究はすでに開始しており、2024年度後半には一つの結論が導かれることが期待される。
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