研究課題/領域番号 |
23K19828
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
市川 翔太 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80980515)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 患者体重 / CT / 人工知能技術 / 医療AI / 医用画像処理 / 救急医療 |
研究開始時の研究の概要 |
患者体重は、治療薬の用量や画像診断における造影剤投与量を決定する上で重要な基準になるが、救急医療においては体重測定が困難な場合がある。また、体重測定に要する僅かな時間の損失が患者の予後に大きく影響し、体重測定に伴う医療従事者の負担は救急医療のマンパワー不足を加速させる恐れがある。そのため、診療の流れを阻害することなく患者体重を即時に把握できるシステムの構築が求められている。そこで本研究では、画像診断のために撮影されるX線CT画像を副次的に利用して、人工知能技術を用いた患者体重推定システムを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、画像診断のために撮影されるCT画像を副次的に利用して、人工知能技術を用いた患者体重推定システムを構築することである。2023年度は、計画通りに「第1段階:各領域における体重推定に最適なスライス位置の探索」を実施した。この実験では、体重情報が既知であるPET/CT検査から、10か所の椎体レベルに位置する計8620枚のCT横断像を取得し、断面積を入力とする線形回帰モデルと画像自体を入力とする畳み込みニューラルネットワークによる回帰モデルを構築した。断面積の算出は、しきい値処理、ラベリング、輪郭抽出処理を組み合わせて自動化した。畳み込みニューラルネットワークは、予備研究で顕著な結果を示したVGG16を用いた。2種類のモデルの構築は、椎体レベルごとに行い、各椎体レベルにおける体重推定精度を評価した。その結果、両手法による推定体重は、すべての椎体レベルにおいて正解値と良好な相関関係を示したが、断面積を入力とする線形回帰モデルでは第5胸椎レベル、畳み込みニューラルネットワークよる回帰モデルでは第5腰椎レベルにおいて特に優れた精度を得られることが示された。全体として、第5胸椎レベルの断面積を入力とする線形回帰モデルが最も良好な推定精度を示し、その精度は平均絶対誤差で5.39 kgであった。このCT横断像からの体重推定に関する成果は、論文として公表した。また、「第2段階:エッジデバイス上での患者体重推定の実現」を次年度実施するために、使用予定のシングルボードコンピュータやカメラなどを準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に予定していた第1段階の「各領域における体重推定に最適なスライス位置の探索」を計画通りに実施し、その成果を論文として公表できたため。また、2024年度の研究で使用予定のシングルボードコンピュータ等の調達が完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
将来的な臨床現場での利用を見据えて、コンソール上に表示されたCT画像から患者体重を直ちに推定可能なシステムをエッジデバイス上で実現することを目標に研究を進める。具体的には、エッジデバイスに接続したカメラでコンソール上のCT画像領域を読み取る物体検出モデル、および検出した画像から患者体重を推定する回帰モデルの構築と検証を行っていく予定である。
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