国際的に最も高齢化率が高い日本において、医師が複数の慢性的な健康問題を持つ患者を診療する機会はかつてなく増えている。このような「マルチモビディティ」を持つ患者に対しては、問題ごとに分解してエビデンスに基づいた治療を行うことは却って有害であり、健康問題と社会的背景の相互関係を加味したアプローチが必要とされている。しかし、経験を積んだ医師がどのような臨床推論を用いているかは十分に調査されていない。本研究では、総合診療医・訪問診療医へのインタビュー調査を通して、卒前および卒後医学教育において初学者がマルチモビリティを持つ患者の対応を学ぶにあたって有用な枠組みを見出す。
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