研究課題/領域番号 |
23K19862
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯野 萌子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40981501)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 希少疾患 / 難病 / 質的研究 / 共生社会 / 生活者 / 障害 / 合理的配慮 / 合理的調整 |
研究開始時の研究の概要 |
希少疾患をもつ患者の、心理社会面の負担を軽減するための対応が急務とされる。一方、患者が抱える困難やニーズの具体的な内容は十分に知られていない。本研究では、「周囲に病気をわかってもらえず、必要な理解や配慮を得られない」という患者の声に着目して彼らの困難を把握し、解決に向けてどのような社会的支援が必要かを検討し整理することを目指す。具体的には、複数の希少疾患を対象に、患者が「周囲にわかってもらえない」と感じた経験や、周囲にどのような理解やサポートを求めているのかを聞き取り、帰納的に分析する。分析結果をもとに、解決のために必要な支援や施策・今後の研究領域の提案を行うことを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、インタビューの実施準備として、文献検討とインタビューガイドの作成に注力した。本研究では、複数種類の希少疾患の患者からそれぞれ様々な困難が語られると予想され、その困難はCommonな疾患での内容とも部分的に一致することが想定される。また、「周囲」と患者との関係性は、障害学や看護学でこれまでに論点にされてきた問題とも近しいと考えられる。これらを踏まえ、まずは近接分野の既存文献を参考に研究で扱う用語の整理を行なった。その結果、特に「配慮」という言葉は社会モデルに照らして不適切であり、「調整」などと呼ぶべきだとする近日の議論の高まりを把握した。ただし、「必要な理解や配慮を得られない」という表現は、患者自身により以前発された言葉である。そこで、インタビュー実施者である研究者からは「配慮」の語の使用を極力控えることとしつつ、当事者らの語る言葉の中で「配慮」という言葉が現れるかどうか、またそれら「調整(配慮)」を周囲や社会が行うことについて、患者らがどう捉えているかを把握するようにインタビューガイドをデザインした。さらに本年度は、用語の整理に加え、リクルートに向けた患者会とのネットワークの深化と拡大を行なった。 上記のインタビュー準備に加え、希少疾患を持つ患者にとっては診断がつくまでが長期に及び周囲からの理解も得られない困難な体験になることを踏まえ、未診断期間についてのアンケート調査の分析を行なった。ファブリー病を対象にしたアンケート調査の結果、正しい診断がない時期、患者らの痛みや熱などの訴えは周囲の人々から大袈裟だ、詐病だ、などと見なされることが多いことが明らかになり、その反応が当時の患者自身の症状認識と受診行動にも影響を与えていたことが示唆された。当時の症状に対する患者らの受診行動のデータなどを中心に、患者会の代表とともに学会発表を行なった。現在、論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に関連する文献等のレビュー及び新たな患者会とのネットワーク構築、また国際学会での患者著者との共同発表の実施を優先したため、インタビュー調査の開始予定がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、倫理審査の承認を得た段階であり、研究協力を患者会代表者らに依頼する。
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