研究課題/領域番号 |
23K19864
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
友岡 祥子 九州大学, 大学病院, 助教 (30979381)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | リポ多糖結合蛋白質 / 脂肪肝指数 / 低濃度エンドトキシン血症 |
研究開始時の研究の概要 |
脂肪肝は肝臓におけるメタボリックシンドローム(MetS)の表現型と言われており、その予防には早期からの危険因子の管理が重要である。近年、腸内のグラム陰性細菌に由来するエンドトキシンが血中移行することで、低濃度の血中エンドトキシン(代謝性エンドトキシン血症)が炎症を惹起し、肥満の病態に関与することが注目されている。本研究では、血中エンドトキシンの安定マーカーであるリポ多糖結合蛋白質(Lipopolysaccharide-binding protein, LBP)の血中濃度を用いて、日本人の地域住民における血中エンドトキシン濃度(血清LBP値)と脂肪肝との関連を縦断的に検討する。
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研究実績の概要 |
リポ多糖(Lipopolysaccharide, LPS)は、グラム陰性桿菌の細胞壁の外膜成分であり腸管に多く存在する。腸内細菌由来のエンドトキシンであるLPSが慢性的な炎症を引き起こし、腸の透過性が亢進(leaky gut)すると、血液中にエンドトキシンが流入すると考えられており、血清エンドトキシン値が慢性的に軽度上昇した状態は代謝性エンドトキシン血症("metabolic endotoxemia")と呼ばれる。近年、低濃度エンドトキシン血症が肥満、インスリン抵抗性、糖尿病、動脈硬化などの循環代謝障害と関連することが報告されており、脂肪肝は肝臓におけるMetSの表現型といわれることから、低濃度エンドトキシン血症が脂肪肝とも関連することが予想される。 本研究ではLPSは血中の半減期が短く、定量が困難であることから、血中エンドトキシンの安定マーカーであるリポ多糖結合蛋白質(Lipopolysaccharide-binding protein, LBP)の血中濃度を用いて、日本人の地域住民における血中エンドトキシン濃度(血清LBP値)と脂肪肝との関連を縦断的に検討することを目的とした研究である。その目的の達成のため、本年度は血清LBPを始めとしたデータの収集を行った。データは2002年に久山町の生活習慣病健診を受診した40歳以上の地域住民のデータを使用し血清LBPデータの他に、脂肪肝指数(Fatty liver index、FLI)を使用するため必要な中性脂肪、BMI、γGT、腹囲の値、また調整因子として用いる年齢、性別、喫煙、飲酒、運動習慣、HOMA-IR、高感度C反応性蛋白(CRP)のデータを収集、整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は申請者が大学院生時代に学位論文とした低濃度エンドトキシン血症とMetSの発症との関連についての研究テーマから派生したものであり研究の基盤となるデータは収集されている。解析手法もひとまず前研究に準ずる形で研究を行う予定であり、関連について精査する体制は整っていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では血清LBPと脂肪肝発症との関係について縦断研究にて検証する。2002年に久山町健診を受診した40歳以上の住民の血清LBPレベルを4分位に分けたベースライン時の集団特性を確認し、5年追跡後の血清LBPレベル別に見た脂肪肝の累積発症率、オッズ比の解析を行う。またこの解析を行う際、調整因子として、性、年齢、喫煙、飲酒、運動習慣を用いたモデル、またこのモデルにHOMA-IRを追加したもの、高感度CRPを追加したもので検証することで血清LBPと脂肪肝発症との間における介在因子ならびにメカニズムを解明する。
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