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家庭医と看護師対象の患者の孤独の認知と対処についての調査

研究課題

研究課題/領域番号 23K19866
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0908:社会医学、看護学およびその関連分野
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

吉田 一隆  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 博士研究員 (80980739)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード健康の社会的決定要因(SDH) / 孤独 / 社会的処方 / 家庭医(総合診療医) / 看護師 / プライマリ・ヘルス・ケア / 家庭医
研究開始時の研究の概要

孤独はCOVID-19パンデミックにより世界中で注目を集めている。しかし、このような孤独をプライマリ・ヘルス・ケアに関わる保健医療従事者が認知することは難しい。我々が国内で実施した先行研究では、家庭医や看護師が患者の孤独を認知することが難しいという同様の結果を得ただけでなく、この孤独を過小評価・過大評価してしまうことを報告した。住民が孤独を愁訴に医療機関を受診することは考えにくく、家庭医や看護師が臨床現場で最初に孤独を拾い上げることができなければ、保健医療従事者が社会的処方に繋げることは難しい。だからこそ、家庭医や看護師の孤独に対する認知や対応について詳細な考えを学術的に検証する必要性がある。

研究実績の概要

健康の社会的決定要因(social determinants of health; SDH)の1つである孤独が学術的に、かつ学際的に注目を集めることが多いとはいえ、住民が孤独を愁訴に医療機関を受診することは考えにくい。患者の生活状況や家族構成を配慮して診療に関わる家庭医(総合診療医)や看護師が臨床現場で最初に孤独を拾い上げることができなければ、保健医療従事者が社会的処方に繋げることは難しい可能性がある。にもかかわらず、家庭医(総合診療医)や看護師が孤独を認知することは難しい。これは警鐘を鳴らすべき深刻な事実であるが、学術的にも学際的にも注目度は低い。だからこそ、孤独の対応策の一つである社会的処方を検討するにあたって、家庭医(総合診療医)や看護師の孤独に対する認知や対応について詳細な考えを学術的に検証する意義がある。
本研究の結果は、日本のプライマリ・ヘルス・ケアのセッティングにおいて家庭医(総合診療医)と看護師が患者の孤独を早期に発見し、社会的処方につなげ、総合的・継続的に孤独をケアしてゆくことに重要な知見を与える。
本研究の最終目標は、孤独に対する社会的処方の適切な処方の確立である。本研究の具体的な目標は、家庭医(総合診療医)と看護師が患者の孤独を認知するためにはどうしたら良いかと、認知できた場合にどう対応するかついて、先行研究の協力機関に従事する家庭医(総合診療医)と看護師のより詳細な考えを、テキスト分析を用いて明らかにすることである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は2つの異なるデータ収集をもとに実施している。1つ目は先行研究として疫学的に調査した。福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座の関連施設である2つの家庭医診療所において、2020年8月1日から31日の期間に、定期的に通院している50歳以上の患者を対象に日本語版UCLA孤独感尺度(第3版)を用いてデータ収集を行った。また、同時に、これらの2つの家庭医診療所に勤務する家庭医(総合診療医)と看護師を対象に「過去6ヶ月間の電子カルテの記録を参考に、これから診療・予診する患者が孤独であると思いますか。」という1項目の質問を用いてデータ収集を行った。結果、患者532人を対象に調査を行い492人(92%)から回答を得て、家庭医(総合診療医)6人、複数名の看護師より回答を得た。2つ目は先行研究と同じ家庭医(総合診療医)と看護師を対象に、2023年7月から8月の期間に「どういうときに患者が孤独であると考えますか。」という自己記入式質問票による記述式アンケート調査でデータ収集を行った。家庭医(総合診療医)3人、看護師7人より回答を得た。
1つ目のデータより、患者が高学歴であるほど、未婚・離婚・死別のときほど、一人暮らしであるほど、そして地域活動に参加していないほど、家庭医(総合診療医)と看護師は患者が孤独であると判断することができ、さらに看護師よりも家庭医(総合診療医)の感度が高く、過小評価が低いことがわかった。2つ目のデータより、家庭医(総合診療医)に比べて看護師は患者の人となりをみる傾向があり、孤独だけでなく、心理的、社会的な患者の背景をみていることがわかった。これらの結果より、家庭医(総合診療医)は孤独を診断するように判断するため見落としが少ないが、看護師は多種多様な情報を収集するため孤独だけに焦点を絞りにくく孤独を見落とす可能性が考えられた。

今後の研究の推進方策

論文を投稿し、この結果を臨床現場に伝え共有する。家庭医(総合診療医)と看護師に、この結果を正確に伝えることができるかが課題である。まずは、孤独が患者の健康に害を及ぼしプライマリ・ヘルス・ケアで注目すべきである事実の再認知を家庭医(総合診療医)と看護師に求める。その上で、家庭医(総合診療医)は看護師に比べて患者の孤独を見落としにくいことを伝える。ただし、患者の孤独を見落とす傾向があるから看護師は家庭医(総合診療医)に比べて能力が劣るわけではなく、患者の人となりをみる看護師の強みを伝えるような看護師への配慮は必要になるだろう。多忙な臨床現場で、家庭医(総合診療医)と看護師がより協働し合えるよう、わかりやすく伝えることが求められる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Differences in Assessing Loneliness among Japanese Older Adults : A Comparison of Family Physicians and Nurses2024

    • 著者名/発表者名
      吉田一隆
    • 学会等名
      Takemi Program in International Health, Poster Session
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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