研究課題/領域番号 |
23K19877
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
吉田 明莉 関西国際大学, 保健医療学部, 助教 (60982460)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 産後尿閉 / 尿閉 / 産後女性 / エコー / 排尿困難 / 下部尿路症状 |
研究開始時の研究の概要 |
産後の尿閉は、膀胱内の尿を全く排出できない完全尿閉と排出はできるが一定量以上の残尿がある不完全尿閉に分類される。産後尿閉は主に分娩時の末梢神経障害によって発生し、約5割の女性が尿閉を経験する。発見が遅れると医学的合併症や生活の質低下につながるため、早期発見と介入が求められる。しかし不完全尿閉は自覚症状に乏しく問診だけでは同定が難しく、不完全尿閉を含めて産後尿閉を評価できる基準はない。そこで本研究は、エコーで測定の残尿量による尿閉重症度分類と推奨ケアを含む産後尿閉管理アルゴリズムを開発することを目的とする。本研究によって産後の尿閉管理が標準化され、女性の排尿機能の維持と生活の質の向上につながる。
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研究実績の概要 |
産後の尿閉は、膀胱内の尿を全く排出できない完全尿閉と、排出はできるが一定量以上の残尿がある不完全尿閉に分類される。産後尿閉は主に分娩時の末梢神経障害によって発生し、約5割の女性が尿閉を経験する。発見が遅れると医学的合併症や生活の質低下につながるため、早期発見と早期介入が求められる。しかし、不完全尿閉は自覚症状に乏しく問診だけでは同定が難しいこと、医療者からは「産後によくある一時的な状態」ととらえられ見逃されており、不完全尿閉を含めて産後の尿閉を評価できる基準はない。そこで本研究は、尿閉の重症度分類と推奨ケアを含む産後尿閉管理アルゴリズムを開発することを目的とする。本研究成果によって産後の尿閉管理が標準化されれば、医療者が共通認識のもとで尿閉ケアを提供でき、女性の排尿機能の維持と生活の質の向上につながる。 令和5年度は、文献検討によってアルゴリズムの仮案を作成し、観察の場面、病状の範囲、行為の内容、医療安全の確保体制を決定する計画であった。現在、国内外の文献、国または施設単位で発行されているガイドラインを広く検討し、産後尿閉ケアの内容を抽出し、アルゴリズムの仮案を作成するに至っている。今後、アルゴリズムの内容妥当性を確保し、倫理委員会の承認を得てアルゴリズムの運用確認テストを実施する予定である。その結果を元に産後尿閉管理アルゴリズムの開発とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度中に、アルゴリズムの仮案を作成し、行為の標準化を行うことを予定していたが、文献検討に時間を要し、計画よりも進行がやや遅れている状況である。これは、データベースやハンドサーチも含めて国内外のガイドラインの網羅的な調査やガイドラインの内容精査に計画していた以上の時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書で予定していた手順は下記①~⑤である。 ①アルゴリズムの仮案作成(令和5年度)文献検討によって、尿閉重症度分類のための評価時期と基準を検討・決定する。先行研究より、産後尿閉ケアの内容を抽出し、泌尿器科・産科の専門家で妥当性を検証しアルゴリズム仮案を作成する。②行為の標準化(令和5年度):観察の場面、病状の範囲、行為の内容、医療安全の確保体制を決定する。③アルゴリズム内容妥当性の確保(令和6年度):泌尿器科医、産科医、排泄ケア専門看護師、現場の看護師にアルゴリズムの内容の妥当性の確認を依頼する。④アルゴリズムの運用確認テスト(令和6年度)目的は、看護師がアルゴリズムを用いることで実際の臨床で尿閉の重症度別に患者を分類できるか検証することである。研究デザインは前向き記述的研究であり、研究対象者は経腟分娩後女性50名である。評価指標として分類の可能性を確認するため、分類成功率(分類できた人/調査対象者)を算出し、分類の正確性を評価するため、泌尿器科医の診断との一致度を測り重みづけκ係数を算出する。⑤アルゴリズムの修正・最終決定(令和6年度):アルゴリズムによって分類できない場合や、誤分類となった原因を検討し修正する。これらの手順を経て、産後尿閉管理アルゴリズムの開発とする。 現在①まで終了しているが、7月までに倫理委員会の承認を得て④運用確認テストの実施の準備・臨床との調整を実施し研究を推進していく。現在、予定よりやや遅れている状況であるが、データ収集施設を複数とすることで、研究対象者のリクルートを早めてデータ収集期間を短縮できる方策をとることで、研究期間内に研究目的を達成することができるものと考えられる。
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