研究課題/領域番号 |
23K19882
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター) |
研究代表者 |
橋本 悠生 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 一般研究員 (30980594)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 終末期医療 / がん / 抗菌薬 / 意思決定支援 |
研究開始時の研究の概要 |
終末期がん患者は感染症になりやすいため、抗生物質を開始されることが多い。しかしながら、治療のリスクベネフィットを考えた上で、終末期がん患者に抗生物質投与や細菌検査をどこまで実施すべきかについては不明である。 そこで、終末期がん患者やその家族、医療従事者が感染症治療の方針を検討する際の意思決定支援のため、全国140病院の診療情報データベースを用いた観察研究を行う。終末期がん患者が感染症になって入院した際、抗生物質投与や細菌検査の実施の有無に応じて、入院中に亡くなった割合、入院期間、入院費などを評価する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、終末期がん患者およびその家族、医療従事者が感染症治療方針を検討する際の意思決定支援を行うため、国立病院機構が保有する全国140病院のデータベースを用いて、患者への抗菌薬投与や細菌検査の実施が、死亡率や入院期間など臨床アウトカムにどのような影響を与えるか評価することを目的とする。 令和5年度の成果として、国立病院機構からデータベースの使用許可を取得した上で、大規模データベースを解析可能な機器環境を構築した。また国立病院機構に所属するシステムエンジニアとの月1回程度の定期的なミーティングを通じて、データ抽出のためのフォーマットを完成させ、現在データ抽出依頼が完了した段階にある。 今後。今年度5月までに抽出が完了し、解析開始予定である。 本研究のデータ解析を通じて、感染部位や併存疾患、がん種など終末期がん患者の状態に応じて、抗菌薬使用や細菌検査実施が臨床アウトカムに与える影響が評価可能となる。例えば、終末期肺がん患者において、尿路感染症に罹患した場合は抗菌薬投与により死亡率に改善がある一方、肺炎に罹患した場合では、抗菌薬投与有無で死亡率に差が生じないことが判明したと仮定する。この際、終末期肺がん患者やその家族が臨床アウトカムを考慮した治療選択を希望したとすれば、尿路感染症時には抗菌薬投与を推進する一方、肺炎時には抗菌薬投与をせずに経過を見守るという選択も可能となると考えられる。以上から、本研究の成果として患者全身状態に応じた抗菌薬適正使用等が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において、データ抽出に当初の予定以上に時間を要しているため。 当初の予定では令和5年度中にデータ抽出を完了させ、解析を開始させる予定であったが、技術的に細菌培養データ等の抽出には想定以上の時間を要することが判明し、データ抽出完了予定の今年度5月より解析を開始することとなっている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、全国140施設の診療情報データを用いた観察研究を行う。終末期がん患者が感染症を契機に入院した際、①入院中の抗菌薬投与の有無、②入院中に抗菌薬投与が実施された場合では細菌検査の有無に応じた、院内死亡率、入院期間、総入院費用などの臨床アウトカムを評価する。今年度5月にはデータ抽出が完了するため、抽出完了次第、解析を開始する。 研究成果を患者や医療従事者に広く普及させるため、学会発表や論文のみならず、書籍等での情報発信を目指していく。また本研究は、患者の意思決定に影響を与える法律や倫理の側面も重要である。そこで情報発信を行う際は、法律家や倫理学者など、他分野の専門家とも連携していく。
|