研究課題/領域番号 |
23K19904
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
時野谷 勝幸 上智大学, 基盤教育センター, 助教 (00897720)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 網羅的解析 / 骨格筋 / 遺伝子欠損 / 骨格筋特異的 / Cre-loxP / 遺伝子解析 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、一過性運動によって骨格筋で上昇するレナラーゼという分泌因子に着目した。レナラーゼの生理作用は、細胞受容体を介する細胞保護作用と、カテコールアミン分解作用が報告されている。骨格筋でのレナラーゼの作用を解明するために、骨格筋特異的にレナラーゼが欠損したマウスを作出した。このマウスの表現型を検討することで、骨格筋レナラーゼの作用を解明する。レナラーゼの作用機序解明のために骨格筋の遺伝子発現を網羅的に解析し、先の2つの生理効果のシグナル経路の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、レナラーゼというカテコールアミンを分解する酵素としての役割と、受容体を介した生理活性物質としての役割が報告されている分子を対象に研究を遂行している。特に申請者がこれまで明らかとしてきた骨格筋のレナラーゼ動態に加えて、生理的意義の解明に迫るために、レナラーゼ遺伝子を欠損したマウスを対象に研究を遂行している。 本年度は、標的分子であるレナラーゼを遺伝的に欠損したマウスについて、バックグラウンドを統一するための戻し交配を中心として実施してきた。戻し交配には、C57BL/6Jマウスを用いて3回の戻し交配を実施予定としている。しかし、諸事情により、骨格筋特異的レナラーゼ欠損マウスの戻し交配が遅れており、本年度で戻し交配を終了することができない結果となった。一方で、全身のレナラーゼ欠損マウスも保有しており、こちらは戻し交配まで完了した状態を確保するに至った。全身レナラーゼ欠損のマウスのジェノタイピングや、遺伝子発現量をリアルタイムqPCRを用いて解析を行った。その結果、レナラーゼ欠損マウスでは、遺伝的な欠損を確認することができた。 網羅的解析のためのRNA抽出を実施し、RINの値がシーケンス解析に回せるクリアラインであったことも確認した。しかし、一部RINが悪い部分もあったため、より確実で質の高い状態のサンプルを確保してから、レナラーゼ欠損マウス網羅的解析を実施することを予定している。また並行して、網羅的な解析を実施するためのデスクトップ型のPCを、網羅的解析の動作に問題が生じない性能を搭載して購入し、解析環境を整えるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨格筋特異的欠損マウスの作出(戻し交配)は、当初の予定よりも遅れてはいるものの、全身でレナラーゼを欠損したマウスは準備するに至った。また全身のレナラーゼ欠損マウスの、レナラーゼ遺伝子が、ジェノタイピングでKOマウスと判定されたマウスで、遺伝子の発現量がないことまで確認ができている。 一方で、骨格筋特異的欠損マウスのHSA-Creベクターを持つマウスについては、順調に繁殖し、系統維持できている状態で、floxマウスの完成後に、すぐに取り掛かれる状態になっている。 またRNA-seqを実施するにあたり、質の高い状態でシーケンス解析に移れる準備も進めている。網羅的解析では、全身のレナラーゼ欠損マウスの骨格筋を対象とすることでも、レナラーゼの欠損を標的に、骨格筋での変動を解析することができると想定している。またその網羅的解析を進める準備も取り掛かり始めており、次年度への準備が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋特異的にレナラーゼの遺伝子が、欠損したマウスを使用して研究遂行するにあたり、マウスの遺伝的背景を統一する戻し交配は、必要な実験上の操作のため、引き続き、実施する。一方で、全身のレナラーゼ欠損マウスの作出は、順調に進んでおり、戻し交配も完了するに至っている。遺伝子発現量の確認までが、完了しているため、今後はタンパクレベルでの検討も予定している。さらに、骨格筋に着目しているため、骨格筋について野生型とレナラーゼ欠損型マウスで、検討する予定である。具体的には、骨格筋の湿重量や、凍結の横断切片を作成し、筋線維数や横断面積を検討する。骨格筋には、大きく2種類の筋線維タイプが存在し、その依存度によって、遅筋と速筋に大別されている。もちろん、マウス骨格筋にも、遅筋と速筋に分類される骨格筋があるため、解析の対象とする。この骨格筋線維タイプを視覚的に解析できる凍結切片では、組織免疫染色法によって解析を進める。骨格筋の線維タイプ別の抗体を用いて、遅筋タイプ(タイプⅠ)や速筋タイプ(タイプⅡa、Ⅱx、Ⅱb)の組織免疫染色法を、マウスの下腿筋群(遅筋や側近と言われる骨格筋が存在)を対象に検討する。 またレナラーゼは、生理作用の報告が2種類あることからも、骨格筋で、どのようにはたらいているか検討するために、RNAシーケンスを用いた網羅的解析を実施する。骨格筋特異的欠損マウスでの実施が理想ではあるものの、生物系の実験の特性上、実施までできるかが、難しい。しかし、全身レナラーゼ欠損マウスでは、解析まで行える状態にあるため、遺伝子を抽出し、RNAシーケンスによって網羅的解析を先に進めておくことも視野に入れて研究を遂行する予定である。
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