研究課題/領域番号 |
23K19917
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大瀧 亮二 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (80982090)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 脳卒中 / 上肢活動量 / 運動イメージ / 身体表象 / 運動表象 / 上肢使用頻度 / 加速度計 / 上肢麻痺 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中後上肢リハビリテーションにおいて上肢使用量を高めることが重要とされている。近年、申請者らは麻痺手の身体特異性注意と上肢使用量の関係を初めて明らかにした。しかしながら、身体特異性注意は静的な身体表象を反映するものであり、動的な表象である運動イメージの長期的変容と上肢使用の関係は不明である。そこで本研究では、脳卒中患者を対象とし、上肢回復過程における運動イメージと上肢使用量をそれぞれ心理物理学的手法と加速度計を用いて縦断的に計測し、これらの関係を解明する。これにより、身体運動イメージに着目して上肢使用量を高める新たなリハビリテーション戦略の構築に向けた基盤的知見が得られると期待される。
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研究実績の概要 |
初年度は、上肢麻痺を呈する亜急性期脳卒中患者を対象として、脳卒中後上肢麻痺患者の運動イメージと実生活内の上肢使用量の関連を調べる横断研究に着手した。日常生活内の麻痺手の使用量を客観的に計測可能な方法として両上肢(前腕遠位部)に腕時計型の3軸加速度計を装着して計測する方法が考案されている。本研究ではこのような加速度計を用いる手法を採用し、連続3日間計測したデータを用いて麻痺側上肢の使用量を算出した。運動イメージ能力は、1人称視点での運動表象を客観的手法と主観的な手法の両方を用いることで多角的に調べた。具体的には、脳内で麻痺手の運動をシミュレーションする際に、どの程度素早くかつ正確に手を操作できるか、つまり運動イメージの「操作性」を客観的に定量化できる手法を採用した。さらに、自施設の環境下で脳卒中者を対象に、より正確に評価できるように改良し、検証を行った。このような心理物理課題を用いた運動イメージ能力の計測においては、課題中にどのような肢位であるかが計測結果に影響を与えることが知られている。そのため、上肢の肢位が異なる条件を設けることで、亜急性脳卒中患者においても姿勢変化に伴う身体表象および運動表象が更新されるかどうかを調べた。これらの計測により、運動イメージが麻痺手の生活内使用に関連するかどうかをより深く検討することが可能となると考えた。このような計測データに対する最適な解析手法の検討も着実に進めた。また、脳内で麻痺側上肢のどの部位をどの程度はっきりとイメージできているかといった質的側面を調べるために感覚運動と視覚イメージの鮮明度の評価も行った。結果、概ね私達の仮説に沿った結果が得られており、本研究で得られた成果の一部を、来年の国際学会にて報告する。これは既に演題登録し、採択されている。次年度は縦断データの解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するため、脳卒中後の上肢麻痺回復過程において、使用行動と身体運動イメージの関係を亜急性期の横断的な研究によって明らかにした。この結果は、上肢の使用行動と運動イメージとの関係について新たな知見をもたらし、脳卒中後の上肢使用を促進するリハビリテーション戦略の構築に貢献する可能性がある。次年度の縦断研究につながる成果を得られたことから、概ね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、身体運動イメージと上肢使用量の縦断的な関係を明らかにする。脳卒中後上肢麻痺を呈した患者を対象とした上肢機能と上肢使用頻度(両手関節に加速度計を装着)に関連する横断データで得られた成果を国際学会にて発表する(演題登録し、採択されている)。加えて、心理物理学的手法で取得した麻痺手の運動イメージのデータをより詳細に解析することにより、麻痺手の運動イメージと上肢使用量の関係を多角的に理解する。特に、脳の損傷側や麻痺の重症度を考慮した解析も進める。より発展的な内容として、麻痺手の使用量(加速度計での計測)と関連する身体意識として運動主体感に着目した研究も進める。得られた結果をまとめ、学会発表・論文執筆を行う。
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