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ICU獲得性筋力低下に対する骨格筋電気刺激療法の適応と限界の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K19928
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
研究機関長崎大学

研究代表者

高橋 あゆみ  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (60980985)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード筋萎縮 / ICU-AW / 骨格筋電気刺激 / 筋構成タンパク質分解
研究開始時の研究の概要

集中治療室(ICU)管理となる重症患者の生存率は著しく向上した一方で,ICU獲得性筋力低下(ICU-AW)の発生が高頻度に認められ,ICU-AWの予防戦略の開発はリハビリテーション医療の喫緊の課題となっている.なかでも骨格筋電気刺激療法(EMS)は期待されている戦略の一つであるが,その効果に関する生物学的メカニズムの全貌は明らかではなく,ICU-AWの病態によっては効果が認められないこともある.
本研究では,ICU-AWの主因とされる筋構成タンパク質の分解亢進に着目し,EMSの効果の生物学的メカニズムならびに,ICU-AWの病態の違いがEMSの効果にどのような影響をおよぼすのかを検討する.

研究実績の概要

筋萎縮の発生メカニズムは,筋構成タンパク質の合成低下と分解亢進が関与しているが,ICU管理となるような重症患者では,過大な侵襲や炎症による筋構成タンパク質の分解亢進が生じるとされている.一方,ICU-AWに対するリハ戦略の一つとしてEMSが注目されており,その有用性が明らかにされている.しかし,EMSでも効果が認められない症例も存在し,これにはICU-AWの病態の違いが影響をおよぼしている可能性がある.
そのため,本研究では筋構成タンパク質の分解亢進に着目し,EMSの効果の生物学的メカニズムを明らかにするとともに,ICU-AWの病態の違いがEMSの効果にどのような影響をおよぼすのかを検討し,EMSの適応と限界を明らかにすることを目的とした.
そこで,本研究の1年目は実験動物モデルの作製と筋線維萎縮に対する効果を明らかにすることを目標とした.実験動物にはWistar系雄性ラットを用いて,ICU-AWのなかでも発生率が高い critical illness myopathy(CIM)と critical illness neuromyopathy(CINM)の実験動物モデルを作製した.具体的には,CIMの実験モデルは2mg/kgの容量でステロイド剤を投与し,下肢骨格筋にステロイド筋症を発症させながら,安静臥床を模するため下肢骨格筋をギプスで2週間不動化することで作製した.一方, CINMの実験モデルは上記の実験操作に加え,ニューロパチーを発症させるため坐骨神経の挫滅損傷を施し,作製した.また,CIMの実験モデルでは小動物用のベルト電極式骨格筋電気刺激装置を用いた介入まで終了している.加えて,検索材料である腓腹筋をATPase染色に供し筋線維タイプ別にその横断面積を解析した結果,CIMに特徴的である速筋線維のタイプⅡ線維の選択的な萎縮が急速に進行していくことを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の目標であった実験動物モデルの作製では,CIMとCINMの実験動物モデルの作製ならびにCIMの実験モデルにおいては骨格筋電気刺激装置を用いた介入まで終了している.加えて,CIMの実験モデルでは,検索材料である腓腹筋をATPase染色に供し深層部をタイプⅡb線維,表層部をタイプⅠ線維,Ⅱa線維,Ⅱb線維に分別し筋線維タイプ別にその横断面積を解析し,CIMに特徴的である速筋線維のタイプⅡ線維の選択的な萎縮が急速に進行していくことを確認することができた.以上の点から本研究の進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる.

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として,実験期間終了後の腓腹筋を検索材料に供し,ATPase染色により深層部をタイプⅡb線維,表層部をタイプⅠ線維,Ⅱa線維,Ⅱb線維に分別し筋線維タイプ別にその横断面積を解析していく.また, Atrogin-1やMuRF-1,Foxo, PGC-1αなどの筋構成タンパク質の分解に関わる分子応答をWestern blotting法やReal time RT-PCR法で解析する.そして,以上の解析を通してCIMとCINMに対する骨格筋電気刺激の効果を生物学的メカニズムに掘り下げて明らかにしていく.加えて,本研究で得られた成果は国内外の学会や国際誌に報告する予定である.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Skeletal Muscle Electrical Stimulation Prevents Progression of Disuse Muscle Atrophy via Forkhead Box O Dynamics Mediated by Phosphorylated Protein Kinase B and Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ Coactivator-1α2024

    • 著者名/発表者名
      Takahashi A、Honda Y、Tanaka N、Miyake J、Maeda S、Kataoka H、Sakamoto J、Okita M
    • 雑誌名

      Physiological Research

      巻: 73 号: 1/2024 ページ: 105-115

    • DOI

      10.33549/physiolres.935157

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ベルト電極式骨格筋電気刺激による廃用性筋萎縮の進行抑制効果はAktとPGC-1αを介したFOXOの動態が関与する2023

    • 著者名/発表者名
      高橋あゆみ,本田祐一郎,前田俊輔,三宅純平,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本リハビリテーション医学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ラット腓腹筋の廃用性筋萎縮に対する骨格筋電気刺激の効果―筋内深度別の検討2023

    • 著者名/発表者名
      三宅純平,前田俊輔,高橋あゆみ,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本リハビリテーション医学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 電気刺激誘発性筋収縮運動による不活動性筋痛の進行抑制効果は刺激強度が影響する2023

    • 著者名/発表者名
      沖田星馬,石木雄大,本田祐一郎,高橋あゆみ,前田俊輔,三宅純平,近藤康隆,吉田佳弘,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本ペインリハビリテーション学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ベルト電極式骨格筋電気刺激法が筋構成タンパク質の分解系の分子動態におよぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      三宅純平,高橋あゆみ,前田俊輔,石木雄大,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本骨格筋電気刺激研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 不動によって惹起される筋痛に対するベルト電極式骨格筋電気刺激法(B-SES)の効果2023

    • 著者名/発表者名
      沖田星馬,石木雄大,本田祐一郎,高橋あゆみ,前田俊輔,三宅純平,近藤康隆,吉田佳弘,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本骨格筋電気刺激研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 骨芽・破骨細胞の動態から不動性骨萎縮に対するベルト電極式骨格筋電気刺激法の効果を探る2023

    • 著者名/発表者名
      前田俊輔,三宅純平,高橋あゆみ,梶原康宏,佐々木遼,本川智子,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本骨格筋電気刺激研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 骨格筋電気刺激によるラット腓腹筋の廃用性筋萎縮の進行抑制効果2023

    • 著者名/発表者名
      三宅純平,前田俊輔,高橋あゆみ,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本基礎理学療法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 不動性骨萎縮に対する骨格筋電気刺激の効果~破骨細胞の動態に着目して~2023

    • 著者名/発表者名
      前田俊輔,三宅純平,高橋あゆみ,佐々木遼,本川智子,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本基礎理学療法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 不動によって惹起される筋萎縮,筋性拘縮,筋痛に対するベルト電極式骨格筋電気刺激法の効果-刺激強度の影響-2023

    • 著者名/発表者名
      石木雄大,沖田星馬,高橋あゆみ,三宅純平,前田俊輔,本田祐一郎,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本基礎理学療法学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 電気刺激誘発性単収縮運動はPGC-1α/VEGF pathway を介して筋性拘縮の進行を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      本田祐一郎,高橋あゆみ,佐々木遼,前田俊輔,三宅純平,坂本淳哉,沖田 実
    • 学会等名
      日本物理療法学会,日本理学療法学会連合日本物理療法研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

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