研究課題/領域番号 |
23K19935
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
遠藤 ゆかり 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 特任准教授 (40635083)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 運動誘発性熱中症 / 尿中細胞 / 興奮収縮連関 |
研究開始時の研究の概要 |
スポーツ活動中の熱中症の中には、十分な対策を施していてもなお重篤な経過をたどる運動誘発性熱中症が散見され、遺伝学的背景のある骨格筋興奮収縮連関異常を起因とするケースが含まれていると想定される。個々のケースにおける興奮収縮連関異常の有無を明らかにするためには、遺伝子検査に加えて、侵襲的な筋生検を伴う骨格筋拘縮試験が必要である。本研究では、遺伝性運動誘発性熱中症のリスク予測・確定診断のために広く臨床応用できる、無侵襲性の興奮収縮連関異常検出方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
スポーツ活動中に、熱中症対策を十分施していてもなお重篤な症状を来す運動誘発性熱射病症例がある。運動誘発性熱射病の一部は、骨格筋興奮収縮連関(ECC)異常に起因している可能性があり、この素因を保持してるか否かを事前に知り得れば、屋外スポーツの競技アスリートや戸外での肉体労働者たちへの熱中症予防につながる。しかし、ECC異常の有無を検査するには侵襲的筋生検を伴う筋拘縮試験が必要になり、容易には施行できない。本研究では、運動誘発性熱中症のリスク予測・診断のために広く臨床応用できる、無侵襲性検査方法の確立を目指す。 ECC異常に起因する運動誘発性熱中症では、筋小胞体膜に存在する1型リアノジン受容体を中心とするCa2+放出ユニット(CRU)の活性が異常亢進する。従来の筋拘縮試験は筋組織を用いたCRU機能測定であるが、CRU機能測定を無侵襲で行うために、尿中細胞から筋細胞へ分化させる手法に着目した。これまでの研究により、尿中細胞由来の筋管には骨格筋タンパクの一部が発現することが確認されているものの、CRU関連タンパクの発現や機能の解析はなされていない。そこで、尿中細胞由来筋管におけるCRUの性質を線維芽細胞由来、筋芽細胞由来の筋管と比較して、尿中細胞由来筋管でも他の2種類の細胞と同等にCRU発現を誘導できる条件を見いだせれば、無侵襲で採取可能な尿中細胞を用いたCRU機能評価方法が確立できると考えている。 本年度は、皮膚線維芽細胞を筋管に分化させる手法を確立させるとともに、筋芽細胞を筋管へ分化誘導する実験を行った。また、ヒト由来尿中細胞から筋細胞への分化誘導実験を行うための準備に着手している。さらにCRU機能測定のための予備実験として、まずはHEK293細胞を用いてCRU活性測定を行い、測定のためのインジケーターや装置の設定条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究に用いるヒト由来尿中細胞、皮膚線維芽細胞、筋芽細胞に関して、提供を受けるための倫理手続きを慎重に行う必要があり、時間を要している。提供を受ける研究機関とは既に連携を開始しており、すでに皮膚線維芽細胞・筋芽細胞については初代培養が完了している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、尿中細胞・皮膚線維芽細胞・筋芽細胞から分化させた筋管それぞれのCRUの性質を明らかにしていく。また、HEK293細胞を用いて行った予備実験の条件を、筋管でのCRU活性測定に応用する。
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