研究課題/領域番号 |
23K19937
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
華藤 恵美 東京医科大学, 医学部, 助教 (20776025)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | エメリン / 血管内皮機能 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、核膜タンパク質エメリンの欠損マウス(EMDマウス)が糖・脂質代謝異常症、さらに血管内皮機能障害を発症することを見出した。このEMDマウスにおける血管内皮機能障害の病態解析として、血管拡張因子である一酸化窒素合成酵素(eNOS)の発現やその活性化、エメリンと関わりが深く細胞の機械的受容を担っているLINC complexを形成する分子等を生化学的な手法を用いて定量する。さらに、電子顕微鏡観察や免疫組織化学染色法を用いて、形態学的に評価することで、核膜タンパク質エメリン欠損による血管内皮機能障害の発症機序を解明し、新規動脈硬化症治療法開発に向けた基礎データを構築する。
|
研究実績の概要 |
核膜タンパク質エメリンが欠損しているモデルマウス(EMD)は若年令より糖・脂質代謝異常と血管内皮機能障害を引き起こしている。血管内皮機能は動脈硬化症発症の初期段階であり、糖・脂質代謝異常は血管内皮機能障害の原因として周知されているが、EMDに生じた血管内皮機能障害はどのようなメカニズムで発症するのかを明らかにするため、マウス大動脈組織を用いて検討した。 1.血管内皮細胞から産生される一酸化窒素(NO)は血管内皮機能の主要な血管弛緩因子であるため、NOに着目し、マウス大動脈組織を用いて、NOを合成する酵素(eNOS)の発現量、またその活性化/不活性化をqPCR法やwestern blot法を用いて生化学的に検討した。摘出したマウス大動脈組織において、eNOSの発現量に有意な差は認められなかった。このことから、EMDの血管内皮機能障害はeNOSの活性化、不活性化やNO以外の血管弛緩因子により生じる可能性があると推測された。 2.組織学的な評価として、EMDマウスから摘出した大動脈組織は電子顕微鏡下にて観察におしたところ、血管内皮細胞の核や細胞の形態異常を認めた。 今後、EMDマウスにおける血管内皮機能障害にエメリンが直接的にどのように影響を及ぼしているかを検討していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度では、マウス大動脈組織からRNAやタンパク質を採取する条件やその方法の選定に時間を要したが、安定的に実験結果が得られるようになり、マウス大動脈組織のeNOSの発現量を確認することができた。また、マウス大動脈組織におけるeNOSの発現量に有意差が認められなかったこともその確認のために、検体数を増やし、実験回数を重ねる必要があり、推捗状況に遅れを招いた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、令和5年度で確立したマウス大動脈組織の生化学的な実験手法を用いて、血管内皮機能を司るeNOSの活性化、不活性化とそれに関わる分子の解析を継続的に行う。マウス大動脈組織におけるeNOSの発現量に変化が認められないことから、血管内皮機能をアセチルコリン刺激により誘発させたマウス大動脈組織を用いて検討することも考慮し、これらの結果により、EMDにおいて認められた血管内皮機能障害の機序を、糖・脂質代謝異常症の関連の有無も含めて解明する。 また、組織学的評価において認められたEMDにおける血管内皮細胞の核や細胞の形態異常については、免疫組織化学染色法を用いて、細胞間や細胞と基底膜に関わる分子や核内膜に局在するエメリンと細胞骨格を繋ぐLINC Complexの分子の局在について検討する予定である。これらにより、血管内皮細胞におけるエメリンの役割の一端を明らかにする。
|