研究課題/領域番号 |
23K19941
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
村上 宏樹 中京大学, スポーツ科学研究科, 実験実習助手 (10975717)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 速さと正確さ / 情報処理 / 垂直跳び / スポーツ動作 / エントロピー |
研究開始時の研究の概要 |
手部動作の実験結果から導かれた身体運動の特性を表す最も重要な原理の一つとされる「速さと正確さのトレードオフの関係」は,全身運動を要するスポーツ動作においても,その関係の成立の可否が検討されてきたが,統一的な知見がなくそのメカニズムには迫られていない.本研究では,速さと正確さの両方が要求されるスポーツ動作の本質に迫るために,その両方が要求される全身運動課題を実施し,本関係の現象の確認とそのメカニズムを検討する.具体的には,垂直跳び課題に着地位置の制御を加えた条件を導入し,Shannonの情報理論のアイデアを用いた軌道の情報処理特性を検討することで,スポーツ動作固有の制御メカニズムを解明する.
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研究実績の概要 |
単純な手部運動の実験結果から導かれ,現在では身体運動の速さと正確さの特性を表す最も重要な法則の一つと説明されている「Fittsの法則」および「速さと正確さのトレードオフの関係」は,全身運動を要するスポーツ動作においても,その関係が成立するかについて研究されてきたが,統一的な知見がなく,そのメカニズムには迫られていなかった.そこで本研究では,速さと正確さの両方が要求されるスポーツ動作の本質に迫るために,その両方が要求される全身運動課題を実施し,本関係の現象の確認とそのメカニズムを検討する.具体的には,通常は正確さが要求されない垂直跳び課題に着地位置の制御を加えた条件を導入する実験を行い,Shannonの情報理論のアイデアを用いた軌道の情報処理特性を検討することで,スポーツ動作固有の制御メカニズムを初めて解明することを目指す. 今年度は、1)最大努力で跳躍することを教示した条件(通常条件)、2)最大努力かつ離陸位置に着陸することを教示した条件(調節条件)の2条件を導入した垂直跳び実験を行い、以下に示す分析結果を報告した。 1)実験者の言語教示によって着地位置の精度が要求された場合の跳躍高が減少(離陸速度が減少)し、着地位置の正確さは向上した。さらに離地地点と着地地点のばらつきをエントロピーの値で定量化し、その値を比較すると調節条件では通常条件より値が小さくなった。 2)正確さが上がるがパフォーマンスが低下するメカニズムを3次元速度ベクトルの大きさ、方向の変化過程から特定した。 3)さらに、離陸から着陸位置までのエントロピー値は、着陸位置の精度が向上したときに減少したように考えられたが、垂直跳びの特性を考慮した場合、手部運動のエントロピー減少とは制御様式の違いが考えられたので、その点を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、実験および研究成果の報告ができているため。概要を以下に示す。 1) 1)最大努力で跳躍することを教示した条件(通常条件)、2)最大努力かつ離陸位置に着陸することを教示した条件(調節条件)の2条件を導入した垂直跳び実験を行い、1000Hzのフォースプレートデータを取得した。 2) 取得データから、跳躍高、離地位置、着地位置、動き出しから離地までの3次元速度ベクトルを算出および分析し、条件間のパラメータの違いを明らかにした。調節条件の跳躍高は減少(離陸速度が減少)し、着地位置の正確さは向上した。 3) パラメータの違いの要因を3次元速度ベクトルの大きさ、方向の変化過程から特定した。 4) 要求される着地位置の精度に段階を設けた場合、跳躍高に変化が生じるかを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
1) 現在は、垂直跳び動作で着地位置の精度を要求する方法として、「離地位置に着地して下さい」という言語教示を用いて、全身運動を要するスポーツ動作における速さと正確さの制御メカニズムを明らかにした。 2) 今後は、高い精度の空間的な制約を達成しなければならないという実際のスポーツ動作が行われる特性を実験に組み込んで、速さと正確さの制御メカニズムをさらに検討する予定である。 3) 具体的には、着地位置制御の水準を変化させることで垂直跳びの跳躍高が変化するかを検討する。跳躍高が変化した場合は、離地時点の速度が調整されたことを意味するため、そのメカニズムを現在の分析手法である時系列の3次元ベクトルデータの分析とエントロピー分析を中心として明らかにする予定である。
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