• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

骨格筋Nrf2による脂肪性肝炎防御機構の解明:臓器間の抗酸化因子伝達に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 23K19944
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0909:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
研究機関福岡大学

研究代表者

三浦 征  福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (20982317)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード脂肪性肝炎 / 筋-肝連関 / 酸化ストレス / Nrf2 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 臓器連関
研究開始時の研究の概要

肥満に随伴する酸化ストレスは骨格筋の異常を誘導し,さらに,骨格筋-肝臓の臓器連関を介して非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH) の発症と進展リスクを増大させる.転写因子Nrf2は抗酸化因子の発現を制御している生体の酸化ストレス防御の司令塔である.申請者らはこれまでの研究で,骨格筋Nrf2がNASHの防御に寄与していること,骨格筋から一部のNrf2下流抗酸化因子が血中へと放出される可能性を見出した.本研究では,骨格筋から肝臓への抗酸化因子の伝達に着目し,骨格筋Nrf2がNASHを防御するメカニズムに迫る.

研究実績の概要

肥満者に随伴する骨格筋の酸化ストレス障害は,骨格筋の機能障害を引き起こし,脂肪性肝炎の病態を増悪させる (筋-肝連関).転写因子Nrf2は生体の酸化ストレス防御の司令塔として知られており,骨格筋の量や機能の維持に寄与していることが示唆されている.脂肪性肝炎における骨格筋Nrf2の機能を解析するため,全身Nrf2欠損マウスをベースに,筋細胞特異的にNrf2を発現する筋細胞得意的Nrf2遺伝子レスキューマウスを作製したところ,興味深いことに,食餌誘導性の脂肪性肝炎が抑制される表現型を示した.これより,筋細胞のNrf2が脂肪性肝炎の防御に寄与していることが確認された.本研究では,骨格筋から肝臓への抗酸化因子の伝達に着目して,筋細胞Nrf2による脂肪性肝炎の抑制メカニズムを検証する.本年度は以下の実験を実施した.
1. 全身Nrf2欠損マウスおよび筋細胞特異的Nrf2遺伝子レスキューマウスの血中細胞外小胞 (EVs) のプロテオーム解析:食餌誘導性に脂肪性肝炎を誘導した両マウスの血清から細胞外小胞を抽出し,内包タンパク質の網羅的解析を行った.筋細胞特異的Nrf2遺伝子レスキューマウスの血中EVsには抗炎症作用を有する分子が内包されていることが確認できた.今後は,本実験で抽出した候補タンパク質の機能に着目し,骨格筋Nrf2による脂肪性肝炎の抑制を媒介する因子の同定を目指す.
2. 培養筋管細胞におけるNrf2活性化誘導の条件検討:培養筋管細胞 (C2C12) にNrf2活性化剤(Sulforapahne)を添加し,
Nrf2下流の抗酸化分子の発現量を解析することでNrf2活性化が誘導される条件を検討した.複数の濃度およびインキュベーション時間を検討し,至適条件を確認できた.Nrf2活性を誘導した筋細胞の細胞由来のEVsを用いて,解析を行う予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨格筋Nrf2による脂肪性肝炎の抑制を媒介する可能性がある候補タンパク質を絞り込むことができた.次年度は,抽出したタンパク質について,肝炎症を抑制する可能性を検証する.また,細胞実験で必須である筋細胞由来EVsを精製するための条件を確立することができた.今後は,このEVsが抗炎症効果を発揮するか,細胞実験にて検証する.細胞実験に必要な設備等も今年度中に確立することができたため,速やかに実験を開始することができる.次年度は今年度の研究成果を基盤に当初予定していた実験を遂行する計画である.

今後の研究の推進方策

今年度実施したプロテオーム解析の結果に基づいて,Nrf2活性化を誘導した筋細胞由来のEVs中に候補タンパク質が内包されているかを解析し,骨格筋Nrf2による脂肪性肝炎の抑制を媒介する因子の更なる絞り込みを行う.また,LPS添加により炎症を誘導したマクロファージ(RAW264.7)または肝細胞(Hepa1-6)に対して,筋細胞由来EVsを添加し,炎症が抑制されるか検証する.これらの実験を通して,Nrf2制御下で筋細胞から肝臓へと抗酸化・抗炎症分子が伝達され,脂肪性肝炎を抑制している可能性を検証する.また,細胞実験にて,筋細胞由来EVsの抗酸化ストレス・抗炎症作用が確認された場合は,食餌誘導性に脂肪性肝炎を誘導したマウスに対するEVsの投与実験を行い,In vivoレベルでの検証を行う計画である.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 筋のNrf2は肝の炎症および細胞死の抑制によりマウス脂肪性肝炎を抑止する2023

    • 著者名/発表者名
      三浦 征,岡田 浩介,石井 亜紀子,陶 経緯,正田 純一
    • 学会等名
      第59回日本肝臓学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 非アルコール性脂肪性肝疾患における筋Nrf2の役割:筋-肝連関の視点からの解析2023

    • 著者名/発表者名
      三浦 征
    • 学会等名
      第31回日本運動生理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 筋Nrf2は筋由来細胞外小胞の変化を介してマウス脂肪性肝炎を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      三浦 征,岡田 浩介,石井 亜紀子,正田 純一
    • 学会等名
      第27回日本肝臓学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-09-11   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi